給与明細の見方

 会社によって書式は異なりますが、給与明細書には大きく分けて3つの項目があります。

1.「勤怠」は、出勤データの項目です。
 「出勤日数」「欠勤日数」「残業時間」「特別休暇日数」などが記載されています。

2.「支給」は、会社から支払われるお金の明細の項目です。
 「基本給」「非課税通勤費(月10万円までが非課税)」「時間外手当」「家族手当」「職務手当」などが記載されています。
 それぞれの会社の規定によって、「基本給」が、「本給」や「職能給」「資格手当」など、細かく分かれている場合があります。

3.「控除」は、差し引かれるお金の項目です。
 控除されるお金には、主に税金と社会保険料の2つがあります。

 ここでは、さきほどのクイズでは触れなかった所得税(税金)と厚生年金保険(社会保険料)について、ご説明しましょう。

<所得税>

 所得税は、毎月の給料から通勤費(10万円まで非課税)と社会保険料(非課税)を引いた金額をもとに、配偶者や子どもなど扶養する人数に応じて、天引きされる金額が決まります。

 税率は5~45%で、所得が多いほど高くなります。ただし、毎月天引きされている金額は仮のものです。本来であれば所得税から差し引くことのできる生命保険料控除などが反映されていないことや、途中で扶養家族が増えることもあるからです。正確な計算は、12月の給与支払いの際に、年末調整して精算されます。

<厚生年金保険>

 年金は、老後に受け取るものですよね。

 しかし、それ以外にも事故などによって障害が残ったり死亡した際、本人や家族に年金が支給されるという保険の役割も担っています。

 保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担します。「標準報酬月額」x「保険料率」で計算します。厚生年金の標準報酬月額は30等級に分かれていて、4~6月の報酬の平均額で決まり、その年の9月から翌年の8月までの1年間利用されます。健康保険と同じです。

 平成28年度の保険料率は、17.828%。標準報酬月額28万円の方は、4万9918円の半分2万4959円が給与から天引きされます。

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 このように、給与明細書を見ると、実際に支払われた手取りの金額や、税金や社会保険料をいくら支払ったかが分かります。

 また、手取り額を知る以外にも、捨てずに置いておくことで、税金や社会保険料の推移を確認することもできます。私たちが払っている税金の額は、毎年同じではありません。

 万が一、勤めていた会社が突然倒産して離職票を発行してもらえず、失業給付の申請ができない、未払いの残業代などの請求を会社に行いたい、といった場合、給与明細書が証拠書類となります。

 失業給付の確認期間や賃金請求期間は原則として過去2年となっていますので、最低この期間分は保管しておくと安心です。

◆今後の予定(変更になる場合があります)
第3回:海外旅行のマネー術
第4回:カード活用術
第5回:ライフプランとお金~転職したら?
第6回:ライフプランとお金~フリーや派遣の場合
第7回:資産形成はどう考えればいい?
第8回:病気になったら? 事故に遭ったら? 保険は必要?
第9回:家は買った方がいい? いつ考える?
第10回:都会と地方、どう違う?

 次回(4月27日予定)は、「海外旅行のマネー術」をご紹介します。お楽しみに!

文/井戸美枝 イラスト/いいあい