5.本当につらいときの毎日の過ごし方

――肉親が病に倒れた時、気丈に振る舞うことのつらさに押し潰されそうになる人はきっといると思います。「ここでは思い切り泣いていい」。そんな自分だけの場所をつくるといいかもしれません。

◆40代で「仕事の転機と重なる親の闘病」どう両立?(もっと読む人はここをクリック)

 いつかは訪れる「親の介護・看護」の問題。

 仕事で責任のあるポジションを任される時期と重なる場合も多く、女性が長く働き続ける時代の新しくも深刻なテーマです。小西さんは、30代半ばで父を亡くし、40代で新番組のメインキャスター就任という多忙な時期に母の看病をしていました。

 普段通りの仕事をしたいという思いから番組制作チームの同僚には伝えず、毎週末、実家の神戸と東京を往復をする日々。病室で母を励ました後、空港までの道の途中、人目につかない場所で思い切り泣くことで、押し潰されそうな感情を開放していたといいます。

 「つらいときこそ、ため込まない心掛けが大切なんですよ」

6.つらいときこそ自分を責めないで

――人はつらい経験をするたびに、他人の心に敏感になれるもの。そして逃げずに自分の力で踏ん張った分だけ、体力も筋力もつく。でも、大事なのは、たった一人で頑張らないこと。

◆小西美穂 41歳の一人誕生日と人生が好転する出会い(もっと読む人はここをクリック)

 番組改編によってレギュラー出演から不定期出演へ。キラキラの生活から急に自分の居場所を失ったように感じた小西さんは「暗くて長いトンネル」の中にいました。孤独に耐え切れず、仕事帰りの夜の街をさまよい、救いを求めて自己啓発系の本を買い集めたことも。

 浮上したきっかけは、学生時代の後輩との偶然の再会。助言を受け、気分転換を兼ねて「自分磨き」を始めたことが、その後の小西さんの人生をみるみる好転させていくのです。

 小西さんは言います。「どんなにつらくても潰れちゃったらダメよ」と。「自分を責めて追い詰めることだけはしないでほしい。不安やいら立ちをストレートにノートに書き出して捨てるだけでも、気持ちは少しずつ軽くなります」

 友達に頼ってみる、ノートに吐き出してみる、自分の体を大事にする、新しいことに取り組んでみる……そうして浮上することができた小西さんが感じているのは、「逆境を乗り越えた数だけ、強くなれる。ツルツルの人生だけじゃ手に入れられない強さを、デコボコ人生は与えてくれるってこと」。

7.吸収できる柔らかい心があれば、いつでも変われる

――自分磨きを成功させるためのルールはたった一つ、「他人の意見を素直に聞き入れて、実践すること」。

◆40代からの婚活 本気の自分磨きを支えた仲間の存在(もっと読む人はここをクリック)

 小西さんの「自分磨き」の成果の一つが、42歳で11歳年下のパートナーとの出会いを引き寄せ、その後結婚。

 成功のポイントは、素直に他人の助言を受け入れる吸収力と行動力です。

 「仕事一筋でメークや服装の勉強が遅れていた」という小西さんは、それぞれ得意な友人を集めて、見た目や部屋のインテリア改造にトライ。「今さら、そんなことしたって……」「私はそれは似合わないし……」などと反発せずに、自分自身が変わることを楽しむようにすると、周りの反応も上々。

 自分磨きを目的に会う友人たちとの会話は常に前向きで明るく、見た目だけでなく心までポジティブに上向いていきます。

 結婚だけでなく、自分磨きの過程で結ばれた女友達との友情も生涯の宝に。輝きを取り戻した小西さんは、現在、夕方放送のニュース番組「news every.」で解説コーナー「ナゼナニっ?」で活躍中です。

文/宮本恵理子 写真/稲垣純也

【働く女性の共感を呼ぶこの連載が書籍になりました!】

読者からは「お守りのような本」「読後のスッキリ感がすごい」と絶賛の声
 
一見キラキラに見えるキャスター小西さんのキャリア。でも実は、突然の辞令で出向、36歳で正社員→契約社員、初のキャスターで批判殺到、41歳で襲ってきたひとりぼっちの寂しさ…とデコボコ道でした。自分にしかできない仕事のつくり方やチーム力を高めるコツ、行き詰まるモヤモヤ期の脱出法、11歳下の男性との結婚に至った40代からの婚活術は、悩める女性たちから大反響。どんな立場の人でも、デコボコ人生を歩むためのヒントが必ず見つかります。


「小西美穂の七転び八起き」1400円/日経BP社
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