皆さんには「人生を変えた本」はありますか? 社会に出るとき、仕事で行き詰まりを感じたとき、私はこのままでいいのだろうかと悩んだとき……人生の転機で、ふと出会った書籍の一節に支えられた経験、誰もがあるのではないでしょうか。今回は、日経ウーマンオンラインの連載でおなじみ、著書の「小西美穂の七転び八起き」でも数多くの働く女性の背中を押してきた、日テレキャスター・小西美穂さんに、人生を変えた5冊の本を紹介してもらいました。

 私の人生は、本と共にあるといっても過言ではないくらい、学生時代から今に至るまで、多くの本に支えてもらいました。キャスターという仕事を目指したきっかけも本でした。日経ウーマンオンラインの連載で何度もお話ししてきた仕事とプライベートの「暗黒時代」も、本が相談相手になってくれました。

小西さんの自宅には壁一面の本棚があり、繰り返し読む本は大事に保管している
小西さんの自宅には壁一面の本棚があり、繰り返し読む本は大事に保管している

 今回挙げた5冊の本は、古い本が多いと感じるかもしれません。ただ、初めて読んだ時に感じた本から得られるメッセージや心に響く言葉は、2度目、3度目と手に取った時に変化することもよくあります。何度読んでも「今の自分」に必要な栄養を与えてくれる。そして、私がこれからの人生でも大切にしていきたい素晴らしい本を5冊、厳選してみました。

人生の指針にしている一冊

「二十一世紀に生きる君たちへ」
司馬遼太郎著
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(リンク先は最新版の「対訳 21世紀に生きる君たちへ」)

 司馬遼太郎が数多くの著作の中で子どものために書いた、たった一冊の本。読むたびに背筋がピンとしたり、心が揺さぶられて涙が出てきたり、今の自分を見つめ直すために、かみしめるように読んできました。

 歴史を愛した作家だからこそ、歴史を見渡した上での言葉、一語一語に重みがあり、文章も無駄がなく、書き写して学びたいほどの名文ばかりです。一つ一つのメッセージが私の人生訓になっています。

 「子どもは何をしなくてはならないのか?」「人は何のために生きるのか?」――著者は子どもたちへ語りかけます。読んでいくうちにまるで私自身に語りかけてくれているような感覚になり、「私は何をしなくてはならないのか?」「何のためにこの仕事をしているのか?」と、自分に深い問いかけができるのです。

 「書き終わって、君たちの未来が、真夏の太陽のようにかがやいているように感じた」という最後の一文からは、「君は君のまま頑張れば大丈夫」と司馬遼太郎に背中を押してもらったような気持ちになりました。

 人生の門出などで、親から子へ贈るのもいいかもしれません。仕事で壁にぶつかっているときや人生に不安や迷いがあるとき、生き方を見つめ直したいときにオススメです。