「大変だったね」とか「またチャンスはあるよ」とか、分かった気になって思い付いた言葉を並べ立てることで、相手は喜ぶだろうか? と想像してみると……もしかしたら逆かもしれないですよね。
言葉にすることでかえって軽く受け止められてしまったり、不用意に相手を傷つけてしまうことだってあります。相手への思いやりは必ずしも言葉だけじゃないって私は思います。相手がとてもデリケートな状態になっているときには、あえて距離を置いてあげるのも優しさかなって。
でも、もしも相手と全く同じ体験をしたことがあれば、自信を持って声を掛けに行きます。「私も同じようなことがあって、こう感じたよ。こんな気持ちになるよね」と伝えることができたら、相手はすごく救われると思うから。
まずは冷静に謙虚に、「私は今の相手の立場を本当に理解できているだろうか」と見つめてみることが、行動を決める第一歩になるのではないでしょうか。
落ち込んだ自分の気持ち どう切り替えればいい?
――では、「自分自身が悩み、もがいて、落ち込んでいる時には、どうやって気持ちを切り替えているのですか?」という質問に対しては、いかがでしょうか?
小西 ここ、八重洲ブックセンターでの「本との対話」が、どん底の私を癒やしてくれたという話は、著書にもたっぷり書かせていただきました。書店巡りや買い物、一人旅などなど、私が落ち込んだ時にやってきたことはどれも「視界の角度を変えるアクション」だったと思います。気の置けない女友達とご飯を食べにいくだけでもリフレッシュになって、あえて仕事以外の話をするとか。
本の中で披露しておりますが、私、40代前半で「激しい婚活」をいたしまして(笑)。
これも実は結婚が目的だったというよりは、「仕事ばかりの人生からちょっと角度を変えて、自分磨きに没頭してみよう!」というキャンペーンを楽しんでみたんですね。政治家や評論家に向けていた取材のスキルを、ファッションや美容に詳しい女友達に向けてみたら、すごく楽しくて新しい自分をどんどん発見できて、いつの間にか結婚という成果までついてきました(笑)。
そういうこともあるので、皆さんがもしも落ち込むようなことがあったら、その不安で毎日を埋め尽くすのではなくて、グルリと方向転換してみて、別のことにエネルギーを使ってみることをおすすめします。
合わなければすぐにやめればいいだけのこと。「人から聞いて情報を取る」という記者の性分かもしれませんが、どんなときでも、止まらず、動き続けることが大事だなと思っています。