――え! それは、一般の人に交じって受講していたということですか? キャスターが隣にいると皆さんに驚かれませんでしたか?

 そうですね(笑)。普通に、アナウンサー志望の大学生たちに交ざって授業を受けていたので、身元を明かすと驚かれたこともありましたね。

 ここでは演劇や通信販売の口上といったさまざまなアプローチから「しゃべり」の基礎を習いました。さらに講師の中から自分に合う先生を見つけて、個人レッスンをつけてもらいました。決して安くはない投資でしたが、やってよかったですね。なにより、「私、着実に成長できている!」という実感が、それまであった不安やプレッシャーを落ち着けてくれました。会議室でどん詰まりになったままでは吸収できなかった学びとたくさん出合えました。

 それ以降、私はどんなに行き詰まったときでも、「解決法はきっとどこかで見つけられる」と思える ようになったのです。さらにこの時、仕事ができない悔しさをバネにして身に付いた習慣がもう一つあります。それは、以前もお話しした「ノートをつけること」。「発散ノート」と「改善ノート」という2種類のノートを使って、自分の感情を紙の上で発散し、行動の改善につながるヒントをまとめていく習慣ですね(「書くだけで成長 キャスター小西美穂の2冊のノート」)。

当時の手帳やノートには、悔しい思いや、行動を起こしたことでの気付きなど、あらゆるメモが残っている
当時の手帳やノートには、悔しい思いや、行動を起こしたことでの気付きなど、あらゆるメモが残っている

キャリアを積んでも「できない自分」に素直に向き合う

――「できない自分」に真正面から向き合わざるを得ないときの対処法を、小西さんは自分の力で発見し、身に付けていったのですね。

 できない自分と向き合うのは嫌な作業ですよね。私も嫌です(笑)。誰でも、できれば避けて通りたいものだと思います。

 それも新人ならともかく、ある程度キャリアを積んでから仕事の壁にぶち当たると、プライドも邪魔して、素直に自分のダメな部分を受け入れられなくなっていることもあると思います。

 けれど、要は心の持ち方次第なのかな、と思うのです。いくつになっても、「どうしたらもっとうまくいったのか」と向き合い続ける自分でありたいと思っています。

 女性のキャリア人生はこれからどんどん長くなるといわれています。だからこそ、私はいつまでも成長できる自分でありたいなと思うんです。どんな経験でも自分をよりよく成長させる材料だと思えば、前向きな一歩が踏み出せるはずですから。

 今、思えば、この「暗黒時代」を経験してよかったと思っています。人はつらい経験をするたびに、他人の心に敏感になれます。そして逃げずに自分の力で踏ん張った分だけ、体力も筋力もつくのだと信じています。

 でも、大事なのは、たった一人で頑張らないこと。

 まずは自分の体と心の声に耳を傾けて、周りの人をたくさん頼って、「解決法はどこかできっと見つかる」と信じて歩き出してみる。思わぬ行動が、心を落ち着かせ、視界を広げるきっかけになることはたくさんある。経験者として、おすすめします。

聞き手・文/宮本恵理子 写真/稲垣純也

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