医者にかかることで弱った心と体が軽くなっていく

――どういうお医者さんにかかったんですか?

 内科の先生です。同僚のお父さんが胃腸の専門医だったことを思い出し、早速紹介してもらって、クリニックを訪ねたんです。

 診察室で初めてお会いしたY先生は穏やかな表情で私と向き合い、胃腸の不調や不眠、頭皮の湿疹、耳鳴りの症状についても、私の訴えをじっくりと聞いてくださいました。

 「まずはしっかり眠れるようにしましょう。心も安定していきますからね」と薬を処方し、「参考に読んでみてくださいね」と薄い冊子を渡してくれました。過敏性腸症候群や睡眠障害、うつといった病名が書かれたパンフレットの表紙を見て、「ああ、そういうことか」と、妙に心が軽くなった気がしました。 「困ったことがあれば、いつでも相談してくださいね」という言葉がとても心強く、 私は2週間に1回ほど、クリニックを訪ねるようになりました。

 心が弱っている時、定期的に体のメンテナンスを続けることで、私の気持ちは落ち着いて、いつの間にか心も回復していきました。番組では、相変わらず力不足で怒られてはいましたが、健康面を相談できるY先生がいることで、「どんなに心身が弱っても、最悪の状態にはならない」と落ち着きを保てるようになったのです。

「なにかあれば相談できる。そういう人がいると大きな支えになります」
「なにかあれば相談できる。そういう人がいると大きな支えになります」

――心が弱った時には、体のメンテナンスがおすすめだと。

 病院を訪れなくても、体を動かすだけで十分な人もいるかもしれませんよね。いずれにしても、ハードな状況に置かれた時ほど、ちょっとした体の変化を見逃さないことが大切だと実感しました。

 心(精神面)と体(身体面)は一体であり、それぞれが影響し合うと思うので、大変な時こそ両方のケアが必要。Y先生は私を窮地から救ってくれた恩人です。今ではすっかりご無沙汰するほど回復した私ですが、「心から信頼できる主治医を持つこと」は長く働き続ける条件の一つだと思います。

壁にぶつかっても、じっとしていない 「答え」の探し方

 一方で、「キャスターとして、いかに技能を磨いていくか」という課題は、私に突きつけられたままでした。「こうすべき」と指摘され、頭の中でイメージできても、いざ生放送でゲストと向き合うとうまくできないんですね。進歩しない自分に対する焦りやいら立ちから、「どうしたら理想に近づけるか分からない。誰か教えてよ!」と叫びたくなることが何度もありました。

 ただじっと怒られているだけでは答えはつかめないんですよね。そこで私は一歩踏み出し、自分で答えを見つけにいくことにしたのです。壁にぶつかったら、自分の足で歩いて、答えを探す。これが壁に当たったりつまずいたりしたときに繰り返し思い出す、私の信条なのだと思います。

――答えが分からなければ、自分で情報を取りに行く。まさに「記者魂」ですね。一歩を踏み出した先とはどこだったのでしょうか?

 とにかく、その時の自分に足りないと感じたものを学びに行こうと思いました。まず向かった先は、話のプロを養成する学校です。「日テレ学院」なら社員割引で通えるなと調べて……、あ、すみません、関西人なので出費にはうるさいです(笑)、受講することにしました。