「みんなの前で伝える」ことがなぜ大事か
――なぜ、「みんなの前」のほうがいいのですか?
その人の貢献を周りの人にも伝えることで、他の人もその行動から学べるからです。
ベテランスタッフの匠の技を、私の言葉で「見える化」することで、若いスタッフも「なるほど。あんなふうにしたら、出演者は助かるんだな」と気付きを得られる。そうやって学びを共有できるきっかけづくりとして、私ができることはどんどん積極的にやっていきたいですね。
経験年数が浅いスタッフに対しては、その人がやっている仕事がいかに価値あるものであるかを、できるだけ伝えるようにしています。
私のコーナーの映像をネット配信用に再編集するのは若いアシスタントディレクター(AD)の仕事なのですが、彼女たちも毎日試行錯誤しながら頑張ってくれています。その動画の閲覧数が伸びたときには、すかさず「昨日の動画は私もすごくうまくつないでいると思ったし、ネットニュースのトップページでも紹介されて拡散されたみたいだよ!」と、彼女たちのやった仕事がどれだけ多くの人に届いたかという「成果」を伝えるようにしています。
単に「よかったよ!」と私の感想を述べるだけでは、「いつも怖い(笑)小西さんに褒められた」という、ごく狭い評価にとどまってしまいます。「成果」までセットで伝えたら、モチベーションがぐんと上がると思うんです。要は、相手の「成長ポイント」をきちんと当てることが大事。
それが彼女たちの成功体験として共有されたら、その後、うまくいかないことがあっても「あの時はどうしていたか」と照らし合わせる基準にもなりますよね。私もそうやって仕事と向き合ってこれたから、常に「私がこう言ったら、相手はどう感じるだろうか」ということに敏感でありたいと思っています。
――チームで一緒に成長していこう、という意識がとても高いことが分かりました。
その原点になっているのは、キャスターとしてのスキルを鍛えてもらった「ズムサタ(ズームイン!!サタデー)」での5年間の経験が大きいんです。「ズムサタ」には「ズムサタイズム」と呼ばれる伝統の流儀があるのですが、その一つで私がすごく気に入っているのが、「挑戦者を見捨てない」という考え方。
それは、結果の成否を問わず、何かに果敢に挑戦し、誠実に努力した姿勢を丸ごと認めよう、たとえ失敗したとしても、優しさを持って寛容に接しよう、というイズム。人が成長する時に欠かせない姿勢として私はずっと胸に刻んでいるんです。
だから、私の「ナゼナニっ?」で新しい試みをしたときの合言葉も「ナイスチャレンジ!」。その人が一生懸命考え抜いてやってみた行動は賞賛されるべきものだと思うからです。「ナイスチャレンジ!」の一言が、若いチャレンジャーが前に進むためのエールになっていたらうれしいですね。
聞き手・文/宮本恵理子 写真/稲垣純也
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