例えば、ここ。元日本テレビキャスターで参議院議員の真山勇一さんからいただいた、生放送の番組の最後を締めるコメントについてのアドバイスです。

 まずアドバイスをくださった日付とお名前があって、「言葉の引き出しを持ってきて」と。「最後の30秒は一番視聴者の心に残る。本番では考える余裕がなくなってしまうので、最後のコメントは別に用意しておくといい」と書き留めています。

――日付と話者を書いておくというのもポイントですか?

 いつ、誰から言われたかもセットにしておくと、その人とのコミュニケーションにも生かしていけるんですよ。

 そのアドバイスを実践してみた後でその人に再会できたときに、「あの時、○○さんにこんなふうに言っていただいたのがすごく役に立ちました。ありがとうございました」って感謝をお返しできるでしょう。するとまた、関係性が深まっていく。

 直接いただけるアドバイスだけでなく、「まねしたいテクニック」を書き留めることも多いんですよ。

 ちょっとお恥ずかしいんですが、ここには古舘伊知郎さんがご自分の番組に日産のゴーン社長(当時)を招いた時のやりとりをそのまま書いていますね。

 こちらには、フリーアナウンサーの荒川強啓さんのラジオ番組でCMに入る前の言い回し。「Aさんはこう言った。Bさんはこういう意見。それを受けてコマーシャルを挟みまして、ではこの先どうしていくかについて展開していきます」と。話のプロが言うと何でもないセリフのように聞こえるかもしれませんが、記者上がりの私からすると、パッとは出てこない言い回しなんです。だから、一字一句書き留めて自分の中に浸透させて、言葉の選択肢を増やします。

――それを実践していたのが40歳前後の時で、今も続けていると。誰から言われるわけでもない、自発的な学びの習慣なんですね。

 話が長い相手の話の止め方とか、相手を尊重する相づちの打ち方とか、細かいテクニックを何でも書いてきました。その蓄積をまとめたら、1冊の本(著書「3秒で心をつかみ10分で信頼させる聞き方・話し方」)になりました。

 最近は、「news every.」で出演中のコーナー「ナゼナニっ?」は放送後に番組ホームページに動画がアップされるので、セルフチェックして「最後が早口になっていたな」「猫背になってるやん」と「自分反省会」をします。そして翌日の放送中に、テレビカメラに映らない所に「早口注意! 姿勢注意!」と書いた付箋を貼っておきます。

放送後、毎回動画をチェックして自分反省会。課題を見つけて次につなげる
放送後、毎回動画をチェックして自分反省会。課題を見つけて次につなげる

自分を受け止められるのは自分だけだから

――すごく地道な努力をサボらず続けていらっしゃるんですね。

 私、不器用なんですよ。これくらいちゃんとやらないと付いていけないんです。

 でも、こうやって十数冊になったノートを見ていると、「私の苦闘の歴史」が積み上がっているようで、愛着を感じますね。

 結局、自分を成長させてくれるのは自分の行動だし、年齢を重ねるにつれて生き方は人の数だけ分岐して、自分と全く同じ立場の人は見つからなくなると思うんです。自分の素直な感情をぶつけられて受け止められるのは自分自身だけ。

 見返すのはちょっと怖いけど(笑)、苦しかった時の私を助けてくれた大事な存在です。

――ちなみに小西さん、今でも「発散ノート」のほうは……?

 はい、今でも一応持っていますよ。でも、おかげさまで滅多に付けることはなくなりました(笑)!

 その言葉にホッとした取材陣。ハードな職務をこなしながら、いつも周りを明るくするゆとりを備える。そんな小西さんの魅力の陰にあったノート習慣に、深く納得した一同であった。

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一見キラキラの小西さんのキャリア、実は、突然の辞令で出向、36歳で正社員→契約社員、初のキャスターで批判殺到、41歳で襲ってきたひとりぼっちの寂しさ…とデコボコ道でした。自分にしかできない仕事のつくり方やチーム力を高めるコツ、行き詰まるモヤモヤ期の脱出法、11歳下の男性との結婚に至った40代からの婚活術は、悩める女性たちから毎回大反響! 共感たっぷりのリアルなお話を、今度は生でお届けします。
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聞き手・文/宮本恵理子 写真/稲垣純也