決してグローバルスタンダードではない、日本企業の習慣

 以前、読んだ新聞記事に「古き慣習は打ち破れ」というものがありました(日経新聞2015年8月31日付)。登場するのは、一橋大学大学院教授のクリスティーナ・アメージャン氏。彼女によると、1981年に来日して以来、日本企業の働き方を見てきたところ、外国人には異様と感じられることが多々あるのだそうです。

生産性を上げるコツは、案件ごとに強弱をつけて働くこと

 例えば、重要でないことまで「PDCA(計画・実行・評価・改善)」や「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を行ったり、社内で許可を得るために何人もの管理職の判子が必要だったりといったこと。これらが日本の労働生産性を下げる要因ではないか、という問題提起でした。その中には、情報満載で緻密なパワーポイント文書に驚いたことも挙げられており、その資料を作るのに一体、何人の社員が労力と時間を費やしたのか、と語っています。

「今日の会議は付箋に書き込むスタイルでやりましょうか」 (C) PIXTA
「今日の会議は付箋に書き込むスタイルでやりましょうか」 (C) PIXTA

 こういった「強弱をつけず、すべて念入りに取り組むのは日本企業の弱い点」と、アメージャン氏。さらには「強弱をつけずに仕事をする社員も、部下にそうさせる上司も評価されない」「今はナレッジワーカーが異なるアイデアを出し、イノベーションを起こす組織でないと競争に勝てない」とも。つまり、日本企業で受け継がれてきた数々の習慣は、グローバルスタンダードではないということです。

小さなことからでOK! 古い慣習を打ち破ろう

 とはいえ、一人ですべての慣習を見直すのは難しいもの。強引に改善しようとして、会社や上司から「反対勢力」と誤解されてしまったらデメリットしかありません。だからこそ、自分一人でできる書類作成方法の改善は、ぜひとも実践していただきたいのです。「隗(かい)より始めよ」との言葉にもあるように、まずは小さな改善から始めること。そこからトライ&エラーを繰り返していけば、きっとより効率よく仕事を進めることができるはずです。

書類作成の業務を改善するポイント

◆プレゼンテーションソフトを使う必要性を考える
◆時には文書作成ソフトで箇条書き、あるいは手書きにしてもOK
◆社内文書は寛大な心で向き合おう
◆思い込みや習慣を見直して、小さなことから改善を!

やる子 「手書きもアリなんて、盲点でした! そうか、思い込みと習慣が足を引っ張ることもあるんだなぁ。私、今年は忘年会の幹事をやるので、その案内もパワポで作っている最中だったんですよね。これがえらく時間かかっちゃって」

すずまり姉さん 「ちょっとあ~た、隣のデスクにいるシバケンさんの似顔絵がアニメーションで動いているじゃない。オジサマ好きな私としては、愛らしくてすごく好きだけど、ムダ以外の何物でもないわ……。これじゃあ、『やる子』というより『やり過ぎ子』だわさ」

やる子 「遊び心も必要かと思ったんですが、確かにやり過ぎですね。自分でも思います……」

すずまり姉さん 「ま、これから気を付ければいいんじゃない。とりあえず、気を取り直してカップ焼きそばでも食べれば? 3分待つ間、『UFO』を歌い踊ってあげるから」

やる子 「いや、ありがたくいただきますけど、歌と踊りはなくて大丈夫です」

すずまり姉さん 「ユゥッフォッ! デレレレッテッテ、デレレレッテッテ……♪」

やる子 「なくていいっちゅーに! 姉さん、うるさいっす……」

 結局、「UFO」を最後まで歌い、ご満悦な表情のまま退社したすずまり姉さん。そんな彼女の背中を見つめながら、やる子は「振り付け、完璧じゃん……」とつぶやくのでした。さて、次回は忘年会の幹事となったやる子に、すずまり姉さんが使えるワザを伝授します。来週も、乞うご期待!

文/石川由紀子 キャラクターイラスト/小迎裕美子 写真/PIXTA