指示受けの際に完成イメージを共有すれば、両者ともハッピー!

 仕事を指示されるとき、ぜひとも行ってほしいのが「完成イメージの共有」。どこまでやればいいか、指示をする側と受ける側が理解していれば、出来上がりに行き違いが出ることはありません

【実例その1】丁寧さと分かりやすさ、どっちが優先?

 まずは実際にあったことを、例としてご紹介しましょう。

 私は以前、ある企業から業務日報の改善を依頼されました。その企業では全社員15名が日報を作り、社長に提出するのが習慣。でも、皆さんの日報に目を通しても、過剰な敬語が気になるくらいで、特に問題はありません。そこで社長にヒアリングしたところ、ようやく分かりました。

 彼は外出が多く、日報をスマホで読むため、簡潔なものを望んでいたんです。優先順位の高い事柄3つほどを箇条書き程度で十分だったのに、社員たちは社長に提出するものだからと、とにかく丁寧さを重視。しっかりと敬語を使って作り込み、時には残業してまで作成していたそうです。

【実例その2】前例を踏襲することは無難と言い切れない

 もう一つの例は、私自身の体験談です。保険会社に入社して5年目のとき、初めて新入社員研修を担当しました。研修後、新たに上司となった人から報告書を求められた私は、張り切って10ページにも及ぶ大作を1週間かけて仕上げたんです。

 その報告書を提出する際に、上司からいただいたのは「遅過ぎる」というお言葉。私は完璧さを追求し、10ページでまとめましたが、上司にとってはA4の1ページ程度でよかったんです。以来、私は上司から「仕事が遅い人」のレッテルを貼られてしまいました。

頼んだのは、そんな完璧な企画書じゃなくて、箇条書きの報告書だよ~! (C) PIXTA
頼んだのは、そんな完璧な企画書じゃなくて、箇条書きの報告書だよ~! (C) PIXTA

その思い込みが、互いの時間をムダにする

 上記二つの例に共通するのは、完成イメージを共有できていないことが要因という点。指示を受ける側はよかれと思い、完璧なものを丁寧に作成したにもかかわらず、指示する側は望むレベルとは異なるものを手にする羽目になったのです。この結果は、互いに「こうするべき」と思い込んでいたからに他なりません。

指示の際に確認することで、間違いもなくせる!

 完成イメージを共有するには、指示を受ける際にとことん確認することが大切。出来上がりのレベルを丼物に例えるなら、「特上」「上」「並」でしょうか。指示を受けて並でいいのかを尋ね、「大切な取引先だから、特上で」と言われたら、「じゃあ〇時間はかかりますが」と時間見積もりを伝えて仕事に取りかかる。そうすることで、時間のムダもイライラすることもなくなり、互いに幸せになれます。

自身が指示を出すときも、ぜひ実践を!

 これは、あなたが指示する側に立ったときも同じ。何をどのレベルで望むのか、部下や後輩にきちんと指示するようにしましょう。なお、こうした確認作業は、レベル違いだけでなく方向違いも正すことが可能。「天丼の特上を頼んだら、うな丼の特上が出てきた……」なんて、ガッカリすることもなくなりますよ。

「ご希望の『並』、もうできました~!」 (C) PIXTA
「ご希望の『並』、もうできました~!」 (C) PIXTA