スターウォーズと孟子の共通点とは

 これはあたかもスターウォーズのジェダイたちが口にする「フォースを感じる」という表現を彷彿させるものです。スターウォーズの世界では、より強いフォースを感じることができた者が世界を制するのです。

 なんと孟子は、奇しくも善の端緒となる仁義礼智(じんぎれいち)を拡充することができれば、「じゅうぶんに世界を支配することができる」といっています。自分の中の善を感じ、ダークサイドにさえ誘惑されることがなければ、世界を支配し、宇宙に平和をもたらすことができる。かくして孟子の説く思想は、『孟子』が戦国時代の思想書であることもあいまって、スターウォーズの世界観と見事にシンクロしていきます。

 さらに孟子は続けます。「もしこれを拡充することができなければ、父母にさえじゅうぶんにつかえることはできないのである」。この一文は、最新作を見た人にはハッとさせられるものなのではないでしょうか。

 人は善と悪のはざまを揺れ動きながら、それでも自分が善であることを信じて生きていきます。最新作では、善を信じ切ることができた人とそうでない人との運命が対照的に描かれていきます。その善を信じる最初の段階こそ、自分の中に宿る善の自覚です。いわばフォースの覚醒。それが端緒となって、物語はいよいよフィナーレを迎えようとしています。続く第8弾、第9弾で何が起こるのかは、まだ誰もわかりません。映画製作が芸術である限り、それは製作者にとっても同じことです。

 これほどワクワクすることがあるでしょうか? スターウォーズの製作と同時進行で生きることのできる私たちの特権といってもいいでしょう。だから最後はこの言葉で締めくくりたいと思います。

 フォースと共にあらんことを、いや、スターウォーズと共にあらんことを……。

スターウォーズ/フォースの覚醒
<作品紹介>
砂漠の惑星で家族を待ち続けている孤独な女性レイは、謎のドロイドBB-8とストームトルーパーの脱走兵フィンと出会い運命が一変する。一方、十字型のライトセーバーを操るカイロ・レンに率いられた帝国軍の残党であるファースト・オーダーは、消えたとされる最後のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーの行方を追っていた。銀河に新たな脅威が迫る中、レイたちはハン・ソロとチューバッカに出会う。

製作総指揮・監督・脚本:ジョージ・ルーカス
販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
Amazonで購入する

こんな可愛い絵本もあります!
ダース・ヴェイダーとルーク(4才)
<ストーリー>
"もしも、ダース・ヴェイダーが子育てに積極的だったなら"。すべてのスターウォーズファンに贈る笑って泣けるユーモアブック。

出版社: 辰巳出版
Amazonで購入する

文/小川 仁志