サザエさんの世界は、現代社会にも通じること
そこは信頼という言葉にヒントがあるように思います。和辻哲郎は前述の『倫理学』の中で、信頼について次のようにいっています。
つまり、過去の信頼があるからこそ、未来においても信頼できるということです。人から信頼を得るためには実績が必要なのです。
ここからわかるのは、人は信頼を得、それを保つために善行を続けるということです。人と人のつながりが濃い社会ほどそうした意識が強く働きます。「サザエさん」の時代の古き良き日本で、善き人であるためには、そうした振る舞いが不可欠だったわけです。私たちが「サザエさん」を好んで見るのも、このすさんだ時代に、それでも善き人であり続けたいからかもしれません。
文/小川仁志
サザエさん
<作品紹介>原作:長谷川町子
販売元: 朝日新聞社
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