幸福の本質は万国…いや、宇宙共通なのだ

 私の人生も決して平たんではありませんでしたが、振り返ってみると、フリーター生活だろうがなんだろうが、とにかく前向きに乗り切ったからこそ今があるのだと思います。

 あるいは、ラッセルはこういいます。

しかし、あきらめにも、また、幸福の獲得において果たすべき役割がある。その役割は、努力が果たす役割に劣らず欠かすことのできないものだ。賢人は、妨げうる不幸を座視することはしない一方、避けられない不幸に時間と感情を浪費することもしないだろう。
(ラッセル『幸福論』)

 冷静で現実主義者のラッセルによると、無理にあがくほうが不幸になるので、時にはあきらめも肝心ということです。貪欲に競争するより、そんな競争からは降りて、のんびり生きたほうが幸せになれるかもしれないと。

バートランド・ラッセル(1872-1970)。イギリスの哲学者。最初は、数学や記号を論理学の手法によって分析することで、現代分析学の基礎を築いた。その後、社会を幸福なものにしていくための活動家を行った。

 私も30歳のとき、大きなことばかりいうのをやめて、市役所で自分のできることを一生懸命やろうと決めました。そこから幸せになっていったような気がします。

 さらにヒルティはこういいます。

人間の最も悪い性質はうまれつきの不誠実である。この性質があったならば、ほかのどのようないわゆる良い性質も、すべて何の役にも立たず、かえってその人をますます危険な人間にするばかりである。
(ヒルティ『幸福論』)

 誠実であることこそが大事で、誠実であることによって幸福になれるという主張です。ヒルティは敬虔なキリスト教徒なので、自分が正しい行いをしていれば、幸福な気持ちになれると考えるのです。正直に罪を告白したり、欲張らずにみんなと平等に分け合うことによって。

カール・ヒルティ(1833-1909)。スイスの哲学者。法学を修め、スイス陸軍の裁判長も務めた。博学を生かして幅広い著作活動を行い、とりわけ聖書に強く感化されて宗教倫理的著作を多く著している。

 私の場合、今もそうなのですが、欲張ると必ず失敗します。誠実に、素直に取り組んだ仕事ほどうまくいくのです。世の中うまい話はありません。楽して得をするという発想は、不幸の始まりなのです。

 いかがでしたでしょうか? まさに哲学の三大幸福論は「おそ松さん」の六つ子たちの幸福論とぴったり一致していますよね。これは哲学が普遍的な営みである証拠だといえるでしょう。物事の本質は、突き詰めると一つなのです。その本質は、時代や場所を超えて、当てはまります。だから幸福の本質は万国共通なのです。それとも…ま、まさか「おそ松さん」の六つ子たちが哲学者なのでしょうか!?