月に最大6万円の支出に耐えられるか

 シングルの女性がまず検討したいのが、医療保障です。医療保険、がん保険、介護保険などがこれにあたりますが、今回は特に、病気、けがなどで入院、手術をしたときに給付金を受け取れる医療保険について考えてみましょう。

 医療保険が必要かどうかを検討するときのポイントは、おもに2つあります。

 まず1つ目は「傷病手当金」です。これは健康保険から支給されるもので、会社を3日以上連続して休むと、4日目以降、仕事を休んだ日に対して支給されます(最長1年6カ月)。金額は標準報酬月額(おおよその月収)を日割りしたものの3分の2です。

 入社して間もないと、まだ有給休暇が使えないことがほとんどです。有給休暇がない時期に病気などで仕事を休むと欠勤扱いとなり、それだけお給料が減額されてしまいます(※)。減額される金額が、もともとのお給料のおおむね3分の1以上であれば傷病手当金を受け取ることになるでしょう。

※休んだ期間についての給与の支払いがあり、その給与の日額が傷病手当金の日額より少ない場合、傷病手当金と給与の差額が支給されます。

 2つ目のポイントが「高額療養費」です。高額療養費とは、1カ月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分があとで払い戻される制度です。「一定の金額」は、おおよその月収が26万円以下なら(住民税非課税世帯を除く)、5万7600円です。

 したがって医療保険を検討するときには「長期入院などで収入の約3分の1が減り、かつ最大で月6万円弱の医療費の自己負担があったときに、これらをカバーできる貯蓄があるかどうか?」が判断するひとつの基準になります。入院による収入ダウンと支出のアップを、貯蓄でやりくりできるなら、医療保険はなくても構わない、ということになります。(※)

※高額療養費は原則として後から払い戻されるため、医療費は一度自分で立て替えなければなりません。ただし、医療費が高額になることが事前にわかっていれば、「限度額適用認定証」という書類を医療機関の窓口に提出しておくと、1カ月に窓口で支払う医療費が自己負担限度額(この例なら5万7600円)で済みます。