生理痛による労働損失は4911億円も

 大須賀さんらが「月経に伴う不調と損失」を試算したところ、「労働損失」4911億円、「通院費用」930億円、「OTC(服薬)費」987億円という結果になりました(Journal of Medical Economics 2013,1-12.informa Healthcare)。

 月経痛を我慢した上に、巨額な労働損失を出しているなんて、何だか理不尽な気もします。

 パネリストの一人、国際ジャーナリストのドラ・トーザンさんは、「フランスでは思春期になったら、婦人科にかかるのは当たり前」だと教えてくれました。

「フランスでは婦人科は妊娠・出産するためだけではなく、生活習慣、ピルや避妊の相談など女性の健康を維持するために通う場所です。私も10代の頃から診察してもらい、かかりつけ医は私の人生のヒミツも知っていますよ(笑)」(ドラ・トーザンさん)

婦人科のかかりつけ医が見つかると安心です (C) PIXTA
婦人科のかかりつけ医が見つかると安心です (C) PIXTA

 ピルを処方してもらう際は、健康診断や血液検査なども行うため、結果的に定期検診としての役割も果たしているそうです。

 昨年、日経ウーマンオンラインの読者アンケート(平均年齢37歳)で「生理痛やPMSについて、病院を受診したことがあるか」を聞いたところ、「ない」と答えた人は64.5%もいました。30代になっても受診したことがない人のいる日本とフランスでは、婦人科へのイメージがずいぶん違うのかもしれません。



 月経は「毎月、来るものだから」と、いつしか痛みにも不調にも慣れてしまいがちです。でも、女性と月経は長い付き合いになります。不調を感じたら、まずは婦人科を受診する。これから長く働き続けるためにも、婦人科を訪れてみることが賢明な判断だといえそうです。

文/三浦香代子 写真/PIXTA