まもなく新年度。今年も新人指導の担当になったけれど、どうやって新人の仕事を管理したらいいのか困っている。会社としての期日があるのに、新人は仕事のペースが遅くて、板挟みがツライ……。そんな先輩社員の方もいるのでは? 業務改善・オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまねさんに、新人とのコミュニケーション術を聞いている本特集。今回は、新人の仕事を「管理する」スキルを教えてもらいます。
第2回 新人のモチベーションを上げる「認める」スキル
第3回 新人のやる気をそがずにミスを指摘する二つの方法
第4回 新人が「期日を守れない」背景と対処法(この記事)
第5回 新入社員の正しい「叱り方」 叱るべき状況は2つだけ(3月16日公開)
第6回 「励ます」スキル ペップトークのすごい効果(3月20日公開)
第7回 「電話に出ない」「言われたことしかやらない」新人への声掛け(3月23日公開)
第8回 励ますつもりが逆効果? 「嫌味な先輩」と思われない秘訣(3月27日公開)
仕事が遅いのは仕方ない?
・「今すぐ取り掛かって」と言ってもなかなか着手しない。
・社内業務だから遅れてもいいと自己判断している。
・電話を取るのが遅い。進んで取ってほしいのに……。
新人が期日を守れない背景
仕事の遅さや、期日が守れないという問題には、二つの理由が考えられます。
(1)仕事の重要度や優先度が見えていない
(2)計画をする癖がついていない
(1)の「仕事の重要度や優先度」は、そもそも新入社員がすぐに把握できることではありません。上司や部内のメンバーとコミュニケーションを取りながら、徐々に覚えていくものです。きちんと対話をして、優先度や重要度を直接示して、考えさせる問いかけをするしかありません。
もう一つの要因として、他の社員からの依頼と重なって、あなたの予想よりも仕事を抱えている可能性があります。その場合は、今抱えている仕事を書き出してもらうことが有効です。書き出したリストを見ながら、「この仕事を振られているなら、私の仕事は後回しでいいよ」「こっちの仕事を優先してもらうように、その先輩と話をしておくね」といったコミュニケーションができますね。そのやり取りもなしに、すべての仕事の判断を新人一人に負わせるのはかわいそうです。
(2)の「計画をする癖がついていない」状態では、新人は与えられた仕事を瞬発力でこなせる、と考えてしまいます。この場合、仕事に慣れるまでは「計画を考えて持ってきて」としつこいくらい伝えたほうがいいですね。それによって、「仕事を与えられたら、計画を作ってタスクを分解する」という行動習慣を身に付けられるからです。