「質問」は後輩との大切なコミュニケーション

 先輩社員の方々からは「自分で調べずに何でも質問してくる。少しは調べてほしい!」という声が挙がっているようですが、新入社員がいろいろと聞いてくるのはコミュニケーションを求めているからかもしれません。このとき、「自分で調べて」「私に聞いてこないで」という態度を取ってしまうと、相手はあなたとコミュニケーションを取ることが怖くなってしまいます。

 同じことを何度も質問してくる場合は、「前回も伝えたよね。同じ質問をしないためにはどうしたらいいと思う?」と問いかける方法もあります。ただ、本質的には話し掛けてくることを「コミュニケーションを求めているシグナル」と捉えて向き合い方に注目したほうがいい関係が築けると思いますよ。

「この部分、もう一度復習してみようか」 (C) PIXTA
「この部分、もう一度復習してみようか」 (C) PIXTA

自分の新人時代と比べない

 一見やる気がないように見える言動も、実は上の世代の勘違いだった、ということがあります。

 例えば、話を聞くときには、相手の顔を見たほうがいいと考えている人もいます。そうすると、メモには集中しづらいですよね。「私が新人の頃は、先輩の話は必ずメモを取っていたのに」と思うかもしれませんが、自分の常識や価値観だけで判断せず、相手がどうしてその行動を取ったのか、理解しようとしてみてください。新人がよかれと思ってやっていることを頭から否定したら、お互いに不幸な状態になってしまいます。

 今では普通になりましたが、少し前は人が話している時にパソコンでメモを取ると「何やっているんだ?」「失礼だな」と、いぶかしがられる時代がありました。私自身も、以前、話をしている間に後輩がずっとパソコンでカチャカチャ作業をしていて気になったことがあります。ところが、話が終わると「今、先輩が話していたことを図にしてみました」と見せられて、「気が利く!」と思った経験があります。

 同様に、「教わっていません」「聞いてません」と答える新人たちも、率直に状況を報告しているにすぎません。教わっていないことを勝手に進めてはいけない、と思っている可能性もあります。「私が新人の頃は自力で調べて対応してきたのに……!」と思わずに、日ごろのコミュニケーションの中で彼・彼女らの考え方を理解していけば、意思の疎通はもっとスムーズになるはずです。