4月を前に「新人指導をよろしく」と言われた読者も少なくないのではないでしょうか。頑張って育てたい気持ちがある一方、なぜか新人とかみ合わない、教えたことがうまく伝わっていないと感じることも……。そんな悩みを解決すべく、業務改善・オフィスコミュニケーション改善士の沢渡あまねさんに、新人とのコミュニケーションのコツを伺いました。今回は、「冷めている新人」「モチベーションが低い新人」への接し方です。

第1回 先輩社員が告白 私たちが新入社員にモヤモヤする瞬間
第2回 新人のモチベーションを上げる「認める」スキル(この記事)
第3回 新入社員に期待を伝えるための「教える」スキル(3月9日公開)
第4回 先輩社員が身に付けたい 新人の仕事を「管理する」スキル(3月13日公開)
第5回 新入社員の正しい「叱り方」 叱るべき状況は2つだけ(3月16日公開)
第6回 「励ます」スキル ペップトークのすごい効果(3月20日公開)
第7回 「電話に出ない」「言われたことしかやらない」新人への声掛け(3月23日公開)
第8回 励ますつもりが逆効果? 「嫌味な先輩」と思われない秘訣(3月27日公開)

「冷めている新人」「モチベーションが低い新人」にどう接したらいい?

「冷めている新人」「モチベーションが低い新人」の特徴
・仕事に対する熱量が冷めている気がする。新人は会社が好きじゃないの?
・「その仕事、やらなきゃダメですか?」など、言葉遣いがふてぶてしい。
・「合わなければ転職するんで」と言われた。仕事のスタンスに差を感じる。

「仕事にもっとやる気を持ってほしい」「なんだか自分たちと温度差があるような……」 (C) PIXTA
「仕事にもっとやる気を持ってほしい」「なんだか自分たちと温度差があるような……」 (C) PIXTA

そもそもモチベーションが高い人は「レア」

 まず大切なのは、「モチベーションが高い人はレア」だという考えに立つことです。これには2つの理由があります。

(1)本当にやりたい仕事を見つけて入社する新人はそんなにいない
(2)行きたかった会社に入れなくて入社した可能性もある

 (1)から説明しましょう。就職活動をしている学生に見えているのはとても狭い世界です。その狭い世界で「やりたいこと」を見つけて就職したところで、その仕事が彼・彼女にとって本当にやりたいことかは定かではありません。やりたいことは、いろいろな仕事を任されて経験する中で、「この仕事が楽しいかもしれない」と徐々に見えてくるものなのです。

 (2)の「行きたかった会社に入れなくて入社した可能性もある」とは、新入社員にもいろいろな事情があるということです。第一志望ではなかったかもしれないし、家族の都合で家から近い会社に就職したかもしれない。そこでモチベーションを上げようと思っても、そう簡単には上がりません。

 先輩社員の皆さんは、自分の仕事もある中大変だと感じるかもしれませんが、時間をかけてコミュニケーションの取り方や仕事の与え方を変えていき、新入社員の「やる気スイッチ」を探す度量を持つことが大切なんです。