一歩進んだ使い方~インク色を楽しむ醍醐味

インクの充てん方法――カートリッジ? ボトル?

 万年筆を使うときはインクを充てんします。冒頭で、使い切りのカートリッジインクの取り付け方を説明しました。カートリッジは、軸に差し込むだけで手軽に使えます。

 この他、ボトルからインクを充てんする方法があります。ボトルならインクの色のバリエーションがぐんと増えるので、より楽しくなりますよ。この場合は、別売りの「インク吸入器コンバーター」を用意する必要があります。今回紹介している製品のうちコンバーターを使えるのは、カクノとハイエース ネオ万年筆シリーズです。

ハイエース ネオ 万年筆の例。左はカートリッジインク。中央は顔料ボトルインク「STORiA(ストーリア)」。色は「ナイト(ブルー)」。手前の白い棒状のものがコンバーター
ハイエース ネオ 万年筆の例。左はカートリッジインク。中央は顔料ボトルインク「STORiA(ストーリア)」。色は「ナイト(ブルー)」。手前の白い棒状のものがコンバーター

 ボトルから万年筆にインクを充てんするには、まず、ペン先にコンバーターを差し込みます。コンバーターの持ち手部分(ノブ)をクルクルと回し、ピストンを一番下まで下げた状態で、ペン先をインクボトルに入れます。ノブをクルクルと時計回りに回していくと、インクがコンバーターの中に入っていきます。

コンバーターの持ち手部分をゆっくりと回しながらインクを吸入していきます
コンバーターの持ち手部分をゆっくりと回しながらインクを吸入していきます

 最後に、ペン先を軸に取り付ければ完成です。軸が透明なクリアタイプならインクが透けて見えるので、吸入された様子が分かりやすいです。インクの色を変えると、雰囲気がガラッと変わるので、気分に合わせて色を楽しむことができます。

コンバーターを使ってボトルからインクを吸入し、準備完了。文字が書けるようになりました
コンバーターを使ってボトルからインクを吸入し、準備完了。文字が書けるようになりました

気になるお手入れ方法は?

 万年筆になかなか手が出せない理由は、ずばり「お手入れ」ではないでしょうか? しばらく使わないと、ペン先にインクが詰まってしまい書けなくなることも。急に書けなくなると「どうしよう!」と焦ってしまいますが、一度やり方を覚えるとメンテナンスは意外と簡単です。

 一般的な万年筆のお手入れは、水でよく洗うことが基本です。カートリッジタイプは、ペン先を丸ごと水かぬるま湯に漬けておきます(※万年筆によって推奨されるお手入れ法が異なる場合があります。必ず取扱説明書に従って洗浄してください)。

コップの水(またはぬるま湯)にペン先を漬けておく
コップの水(またはぬるま湯)にペン先を漬けておく

 1~2時間程度で洗浄できることが多いですが、長期間使用していない場合は、丸1日漬けておくと効果的です。

 コップから取り出した後は、首からペン先に向けて水道の水をかけて洗い流します。最後に柔らかい布やティッシュペーパーで余分な水を拭き取り、よく乾かせば完了です。

余分な水分を拭き取り、よく乾かして、メンテナンス完了
余分な水分を拭き取り、よく乾かして、メンテナンス完了

 万年筆の一番のお手入れ方法は、実は「毎日使うこと」なんです。毎日使っていれば、インクの乾燥を防ぐことができます。さらに定期的に洗浄してきれいに保っておくことが大切です。

書くたびに愛着が増す、相棒を探してみてはいかがでしょう?
書くたびに愛着が増す、相棒を探してみてはいかがでしょう?

 万年筆は他の筆記用具に比べると、ひと手間かかりますが、消耗品とは一味違う、長く使える魅力もあります。インクの色や書き心地など自分の使い方にフィットした、書く「相棒」を探してみてはいかがでしょうか?

文・写真/やまぐちまきこ


この連載は、隔週金曜日に公開。下記の記事一覧ページに新しい記事がアップされますので、ぜひ、ブックマークして、お楽しみください!
記事一覧ページはこちら ⇒ 【胸きゅんステーショナリー】