日本ビジネスメール協会の平野友朗さんが、働く女性から寄せられたメールにまつわる悩みにお答えする短期集中連載。今よりさらに仕事をする上でスマートなメールの返信で「この人と仕事がしたい」と思ってもらうようなアドバイスをしていただきます。

今回のお悩み
長いメールを送ってしまいがちですが、これって読み手のことを考えていないような気がします。忙しいなかでも読んでもらえるように、相手に分かりやすく伝えるコツ、メールの長さや構成のポイントを教えてください。

 「メールは、印刷したときにA4用紙1枚に収まるように書きなさい」と言われたことがあるかもしれません。これは、目安とするのはいいのですが、はっきり言って言葉足らずです。

 この言葉に従ってメールを書くと、A4用紙1枚に収めるために行間を削ったり、改行をしなかったり、逆に読みづらいメールになります。パッと見て情報が頭に入ってこないメールは相手に対する配慮が足りません。

 この言葉足らずの格言(?)に補足説明すると使えるコツに変わります。私ならばこう言います。

 「メールはダラダラと書くものではありません。感覚的には、A4用紙1枚に収まるくらいが理想です。ただ、優先順位が高いのは一目で文章の構造が理解できることです。メールは熟読させるものではなく、見ただけで情報が理解できるべきです。そのためにも、2~5行くらい書いたら1行空行を入れる。文節や句読点で改行して単語が2行にまたがらないように。読点(、)を増やすと読みやすくなります。多くの方が文章に気を取られていますが、見た目(読みやすさ)の方が重要です。文章が長くなりダラダラとしてしまいがちな方は、最低限の文字量で伝えることを意識しましょう。そのとき、A4用紙1枚程度に収まることを目安にするとよいでしょう。」

 このように言葉を足すと、単純にA4用紙1枚に収めることが大切なのではなく、読みやすくする上で、目安としてA4用紙1枚程度に収めることを意識するのが効果的であることが分かるでしょう。

 読みにくいメールが届いたとき、あなたはどのように感じますか? 反応は人それぞれですが、次の感情に集約されるでしょう。

「読みにくいなぁ。ホントに仕事ができないなぁ」(怒り)
「読みにくい……配慮が足らないよ」(怒り)
「うわ! 開いちゃった。時間がかかりそうだから見なかったことにしよう」(現実逃避)

 メールの内容が、いくらよくても読みにくいというだけで、このような人物評価につながる可能性があります。メールが届くたびに「○○さんは仕事ができない」、「○○さんは気が利かない」といった印象が強化されていくのです。

 何かのプロジェクトのメンバーに名前が挙がっても、いつもメールを受け取っている相手が「○○さんは配慮に欠けるので、このチームでもうまくいかないと思うんです」と言うかもしれません。これはあくまでも仮定の話ですが、メールが読みにくいだけでマイナス評価、仕事のチャンスを失うことにつながる可能性があります。