こんにちは、著述・翻訳家の上野陽子です。孤独を感じたことがありますか? どんなときに感じますか? 今回は、イギリスから発せられたニュースから、「孤独」について考えてみます。

 BBCニュースによると、イギリスでは900万人が孤独を感じているという結果が出ました。これは、ジョー・コックス委員会(※)が提出した「孤独に関する調査」をもとにしたものです。

※ジョー・コックス委員会
元労働党所属の下院議員で、女性の権利擁護や人道支援などに力を入れていたジョー・コックス氏(当時41歳)が率いた委員会。この報告書のトップに孤独への対処に対する提言があった。氏は2016年にイギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票の集会準備中に殺害された

イギリスでは900万人が孤独を感じているという調査結果がありました=写真はイメージ  (C) PIXTA

 これを受けてイギリスのテリーザ・メイ首相は、この1月に「孤独問題担当国務大臣(Minister for Loneliness)」という大臣職を創設。1975年生まれ(42歳)で文化省でスポーツなどを担当する政務次官の女性トレイシー・クラウチ氏が就任しました。

孤独担当大臣という新しい大臣職の誕生

 日本にはまだ存在しないこの「孤独担当大臣」のお仕事は……「社会的な孤独」に対応することです。

 ジョー・コックス委員会の報告では、イギリスでは孤独を感じる900万人のうち3分の2が「生きづらさ」を訴えているとしています。さまざまな資料をもとに家族と話をしない高齢者は65万人いるとされ、身体障害者の4人に1人も孤独を感じるというデータもありました。

 さらに、こうして何か事情を抱えた人たちだけでなく、子どもを持つ親の4分の1が常に、あるいは時々孤独を感じ、17~25歳の子どもの54%が「孤独」で子どもの相談窓口に電話をしてくる……といった報告も見られます。つまり、日常的に誰もが孤独を感じがちというわけなんです。

 でも、「孤独」ってすごく曖昧な言葉で、人によって定義もさまざま。日本ではこうした統計があまり取られていません。私たちにとっての「孤独」って何でしょうか。