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NPOの給料、待遇、やりがい 採用のプロが見る実態

2018年4月24日

NPOの働き方や給料 「魅力と課題」を民間と比べると…

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 「残業時間を減らしたい。人間関係を変えたい。カルチャーが合わない――前向きなキャリア構築の転職ではなく、消極的な転職が多いことを、悲しく思っていました」

 大手人材紹介会社で働く竹内麻衣さんは、転職市場の現状にもんもんとしていた。さらに、働くことに期待や希望を持たず、ただ毎日を過ごしている友人たちと会うたびに、もっとポジティブに環境と人材をマッチングできないのかと、頭を抱えていた。そんな矢先に出合ったのが、NPOをはじめとする「ソーシャルセクター」だった。

 「実はそれまで、NPOは何の略かすら理解していないレベルでした。Non-Profit Organizationと聞いても、ピンときませんでしたし。でも、教育系NPOのTeach for Japanを皮切りに、さまざまな社会問題に取り組むNPO団体で働く人と会うたびに、皆さんの暑苦しいぐらい(笑)のやる気や思いに引き込まれるようになりました。日本で働く多くの人が探している『やりがい』や『志』を、仕事の第1ポイントとして取り組める環境が存在するんだと気付いたのです」

2017年に企画した「ソーシャルセクター」のキャリアフォーラムの運営スタッフと (前列右から3番目が竹内さん)

 竹内さんは、NPOかいわいの人々と交流を深める中で、転職市場であまり注目されていなかった、ある需要と供給に気が付いた。社会のために「思い」を持って働きたいと考える人たちがいる傍ら、人事に専念する職員を雇う経済的余裕を持たない多くのNPOは、人材確保に苦労していたのだ。そして、NPOの求人広告やキャリアイベントの企画を重ねる中で、自身が気付いた需要と供給は、確かな現実であることが明らかになった。

 竹内さんが働く人材紹介会社は、年間で約150件の求人特集をホームページで掲載しているが、年間アクセスのトップ3に非営利やNPOの特集が入った他、上位20位のうち三つがNPOに関する情報だった。NPOをはじめとする社会的課題の解決に取り組む「ソーシャルセクター」のキャリアフォーラムを手掛けるたびに、予想以上の反響があり、これまで総勢1500人もの人を動員した。

 「『仕事なんて楽しむものではない』と割り切って心を無にして働いている人たちが、自分のスキルややりがいを認識し直していく姿を目にしました。日本はまだ終身雇用が一般的な上、セクターを超えての転職はほとんどありません。そういう状況の中、転職やプロボノ(専門知識やスキルを社会貢献に生かすボランティア)を通して、人々がNPOという文化や分野が異なる世界を知り、視野が広がっていく様子を見て、ワクワクしました」

 しかし、NPO業界も、いいことばかりではない。人材不足で事業を回すことが大変なため、採用のノウハウや人事につぎ込む資源が不足していることが多い。そもそもどういう人を採用したいのか、要件定義をできていない団体も多いという。

 「NPO業界で最も不足しているのは、人材です。そして、NPO側も、もっと戦略的に人事に力を入れなければ、この状況は改善されません」と、竹内さんは強調する。

 例えば、「ウェブ経由寄付の強化を目指してマーケティング・チームをつくるために、マーケティングとチーム・リーダー経験を持つ30代後半の人材を、年収400万円で採用したい」という要件。竹内さんは、このような相談をよく受けるというが、このオーダーには二つの問題点があると、指摘する。

 「まず、条件に出たような経験レベルを持っている人を400万円で雇うのは難しい。さらに、寄付のマーケティングといっても、普通の人はイメージが湧かない、ソーシャルセクターならではの特殊業務です。ソーシャルセクターには、民間企業にはない仕事や、同じ呼称でも中身が異なる仕事も多いので、ポジションをしっかり説明する必要があります。譲りたくない要件、妥協してもいい要件をしっかりと整理できているかが、人材獲得の成否の重要なポイントなのです

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大倉 瑶子
大倉 瑶子(おおくら・ようこ)
特定非営利活動法人 SEEDS Asia ミャンマー事務所代表。テレビ局で報道記者・ディレクターとして4年働く。東日本大震災の取材を通して、防災や災害復興に興味を持ち、退職し、ハーバード大学ケネディ・スクールで公共政策修士号を取得。マサチューセッツ工科大学(MIT)のUrban Risk Labを経て、現職。
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