4回転サルコウとはどんなジャンプ? 選んだ理由は
フィギュアスケートのジャンプには大きく分けて「トウ系」のジャンプと、「エッジ系」のジャンプとがあります。トウ系はブレードの爪先にあるギザギザの部分・トウピックを氷に突き刺して跳び上がるジャンプです。エッジ系はブレードで氷を蹴って跳び上がるジャンプです。トウ系に分類されるのが「トウループ」「フリップ」「ルッツ」、エッジ系に分類されるのが「サルコウ」「ループ」「アクセル」です。
「トウ系」のジャンプ
・トウループ:右足で後方に滑りつつ、左足のトウを突きながら右足で跳ぶ ★羽生選手が選んだジャンプ
・フリップ:左足の内側(インエッジ)で後方に滑りつつ、右足のトウを突きながら左足で跳ぶ
・ルッツ:左足の外側(アウトエッジ)で後方に滑りつつ、右足のトウを突きながら左足で跳ぶ
※それぞれ反時計回りで滑る選手の場合
トウ系は氷にトウピックを突き刺すことで、チカラを氷に伝えることができ、両足をついた状態での踏み切りとなることから態勢も安定します。ただし、そのぶん踏み切りの際には両足とも負荷がかかることになります。
「エッジ系」のジャンプ
・サルコウ:左足で後方に滑り、右足を振り上げて遠心力で回りつつ、左足で氷を蹴って跳ぶ ★羽生選手が選んだジャンプ
・ループ:右足で後方に滑りつつ、カーブする勢いを回転力に変えて、右足で氷を蹴って跳ぶ
・アクセル:左足で前方に滑り、右足を振り上げつつ、左足で氷を蹴って跳ぶ
※それぞれ反時計まわりで滑る選手の場合
エッジ系は、踏み切りの際にはリンクを滑っているほうの足で氷を蹴って跳びますので、片足での踏み切りとなります。トウピックを突く負荷はなくなるぶん、滑っている足の角度やチカラの伝え具合が難しく、苦手な選手も多いジャンプです。
羽生選手が試合で使用している4回転ジャンプは「4回転トウループ」「4回転ルッツ」「4回転サルコウ」「4回転ループ」です。この中からトウループに加えてもう1種類を「右足への負担が軽い」ことを重視して選ぶと、右足に負荷をかけず左足で踏み切るサルコウになるわけです。予定の演技構成に含まれていた4回転ループを避けたのは、右足で踏み切る負担を考慮してのことなのです。