兄弟姉妹の絆が支えとなる「チーム戦」が熱い

 今大会の日本選手団に特徴的なのは「兄弟姉妹」での参加選手が多いこと。スピードスケートの高木姉妹を筆頭にたくさんの兄弟姉妹選手が出場します。

 カーリングでは女子に吉田姉妹、男子に両角兄弟とそろって兄弟姉妹選手が登場。菊池彩花選手(次女)・菊池悠希選手(三女)・菊池純礼選手(五女)はスピードスケートとショートトラックと競技の垣根を越えて姉妹三人でそろって出場。しかも、これでも四女の萌水選手が落選して四姉妹出場を逃しているというのですから驚きです。

 さらには、ショートトラックには斎藤仁美選手・斎藤慧選手の斎藤姉弟がおり、スキージャンプには小林潤志郎選手・小林陵侑選手の小林兄弟、アイスホッケー女子には床亜矢可選手・床秦留可選手の床姉妹が選出されています。ノルディック複合の渡部暁斗選手・渡部善斗選手の渡部兄弟は、お兄さんの暁斗さんの奥様の由梨恵さんもフリースタイルスキー・女子ハーフパイプで五輪出場を決め、ほとんど家族旅行のようです。全く関係ないですが、ノルディック複合団体には渡部(わたなべ)剛弘選手も代表入りということで、渡部渡部渡部のスリーカードとなりました。

 五輪では心理的な重圧というものも大きくなりますが、子どもの頃から一緒に過ごした兄弟姉妹がそばにいれば、緊張や重圧も分け合って挑むことができます。スピードスケートのチームパシュート、ノルディック複合団体、カーリング、スキージャンプ団体、アイスホッケーという「チーム戦」に強い絆を持った肉親がいるというのは期待感も高まる話です。

 とりわけ「絆」の勝利を見せてもらいたいのが、スピードスケートの高木菜那選手。妹の美帆選手がバンクーバー大会で時の人となった際には、自身も選手であった菜那選手にとってはつらいことも多かったことでしょう。「転べばいいのにと思った」と、決して喜びだけではない気持ちで五輪を見ていたことを本人も語っています。

 しかし、そうした悔しさも含めて「姉妹」であることが今大会につながっているはず。妹に嫉妬したバンクーバー、妹が出場を逃したソチで知った五輪という舞台の重さ、それを乗り越えて姉妹でのメダル獲得に挑む平昌。終わり良ければすべて良しではありませんが、「いろいろあったけれど私たち最高の姉妹だよね」と笑顔で終える姿を見たい。

 金有力のチームパシュートに加え、今大会新採用種目となったマススタートでも美帆さんが補欠として選考されており、わずかに同時出場の可能性が残ります。もし同時出場となった際は、他の選手たちにはない「姉妹」という強固な絆が見られるはずです。片方の選手が自分の可能性を捨てて相棒の風よけに徹したり、わざとペースを落として後続の選手をブロックするなど、家族という特別な絆を持つからこそできる強いサポートも見られるかもしれませんね。

日本代表選手団壮行会にて、主将として決意表明をする小平奈緒選手と、旗手代行を務めた高梨沙羅選手。皆さんの活躍を応援しています!
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文/フモフモ編集長 写真/編集部、PIXTA