後輩や部下と、上手にコミュニケーションを取れていますか?  いい関係を築くための、モノの言い方、接し方を紹介します。

相手の心の声に寄り添ってる?

 仕事を任せたいのに、責任感の足りない後輩や部下。ちゃんと仕事してほしいと、ついつい口うるさくなってしまう。本当は、叱りたくないのに──。

 「実は、『そんなやり方じゃダメでしょ』とダメ出しをすればするほど、相手は『これ以上、注意されたくない』と守りに入り、言われた通りのことしかしなくなります」と、リーダーシップコンサルタントの守屋智敬さん。

 そうならないためには?

 「相手の心の本音に気を配ることです。例えば、後輩がイヤイヤ仕事をしているように見えるなら、『しっかりやってよ』と注意する前に、なぜかを考えてみる。仕事量が多いのかもと思ったら、『たくさん任せたから大変だよね。ごめんね』と励ます。すると相手は『私の気持ちを分かってくれた』と感じ、前向きさを取り戻せます」。

態度の裏の「怖がり」を見抜こう

 後輩から強い口調で言われると、リーダーのほうがたじろいでしまうかもしれないが、実はこれらは「自分を守るため」の言葉だった。

表に出る言葉

・それ、言われてないので分かりません
・私の仕事じゃありません
・あの人、むかつくよね

反抗的な部下の言葉は「自分を守るため」なのかも (C)PIXTA
反抗的な部下の言葉は「自分を守るため」なのかも (C)PIXTA

その裏の本音

・失敗したらどうしよう
・プレッシャーが苦しい
・ダメな自分がバレちゃう

欠点を探すより、いいところに目を向けよう

 心の本音に目を向けると、「失敗が怖い」「怒られるのが嫌」といった負の感情が見えてくる。強い態度に出るのは、これらの感情を隠すため。

 「ダメな自分がバレたらどうしよう」という不安が根底にあることが分かれば、コミュニケーションが変わってくる。「そうか~。あなたも大変だね」と相手の心の本音に寄り添って、「大丈夫だよ」と安心させ、不安を和らげることが大事。そんな共感的な態度が、信頼につながる。

 欠点を探すより、いいところに目を向けることも大切。「取引先に確認メールを送ってくれたのね、助かるわ。ありがとう」など、具体的に褒めよう。

 「相手の心の本音に寄り添ったり、いいところをこまめに伝えたりするうちに、信頼関係ができていきます。『この人の仕事なら頑張ろう』と思ってもらえると、チームの雰囲気が変わりますよ」。

 次のページでは、後輩や部下のやる気を引き出す言葉や、不安を和らげる言葉を紹介しよう。