転職で給料アップは3割 給料ダウンする人も多い

 日経WOMAN公式サイトで2015年4〜5月に実施した読者アンケートでは、転職で年収がアップした人は34.4%、ダウンした人は39.1%。僅差だが下がった人が多かった。「実際、転職で年収が下がる人は少なくありません」とリクルートキャリアの平川記美代さん。とはいえ、年収がダウンしても転職先でやりたいことができる、新たに成長できるならOK。「着実に経験を積めば、次の昇進・昇格につながり、年収も上がっていく可能性が高いんです」。

 そんな「よい転職」をするには、気を付けたいポイントがある。前ページのチェックシートで「自分は転職していい状態か」確認しよう。会社が嫌、なんとなくこのままじゃダメなど、後ろ向きな考えや、曖昧な目的での転職は控えたい。

 「転職の目的は何か? 給料アップか、ワークライフバランスか、勤務地なのか──。転職でこれが達成できればよし、という基準があれば、転職後の不満にもつながりにくい」。考えがまとまらないなら、「一度、転職エージェントに登録して自分の強みや市場価値を知ることも役立ちますよ」(平川さん)。

 下は企業の採用担当者が採りたくなる人の傾向。参考にしてみて。

面接官は何を見ている? 採用したくなる人とは

・この会社で何がしたいのか、目標や目的を語れる人
・今までやってきた仕事のスキルや経験で、次の仕事でも生かせそうな共通項を持っている人
・新人の育成を担った経験がある
・コミュニケーションスキルが高い人(関係者間の調整ができる)
・やる気

 新卒と異なり、中途採用で求められるのは「実務経験・実績・業界知識」が基本。それを踏まえて、上のようなことも意識したい。「会社は自社にはない新しい視点や、事業への新たな意見を欲しがっています。同時に、短期で成果を挙げられる即戦力ニーズも高い」。経験を生かしながら転職先でどんなことをしたいのか、具体的な成果をどれくらいの期間で挙げられそうか。面接でやる気を見せながら語れると強い。また新人や後輩の育成経験があれば、ぜひアピールを。「育成を任される人は社内で人望があると見なされる」(DODA編集長・木下学さん)。コミュニケーションスキルもあると考えられるのだ。

この人たちに聞きました
木下 学
木下 学さん
DODA編集長
新卒で人材サービス会社インテリジェンスに入社。事務派遣領域の法人営業、人事部を経て現職。雇用の専門家として、求人動向などさまざまな情報に精通する。

平川記美代
平川記美代さん
リクルートキャリア キャリアアドバイザー
リクルートで採用コンサルタントを担当後、退職し独立。13年にリクルートキャリアへ。ハイキャリア層のキャリアアドバイザーとして、のべ約1000人の相談に乗る。

取材・文/田中祥子

日経WOMAN2015年8月号掲載記事を転載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。