借金250万円→貯蓄250万円

カードはすべてリボ払い 買い続けては借り続け……(37歳・小売り・企画)

お金の「しくじり期」

 250万円──。23歳からの10年間でつくった借金の総額です。きっかけは、就職2年目にクレジットカードを作ったことにありました。「ボーナスが入るし、きっと払える」。そんな気持ちでブランド物のバッグを購入したとき、私の中で何かが変わりました。店員に勧められるがままにモノを買い、外食もし放題。気づけばカードの利用金額の上限100万円に到達し、やむなく消費者金融に手を出しました。家計は常に火の車。33歳にして借金の総額は250万円に達していました。

こうV字回復した!

 そんなとき、転機が訪れます。結婚が決まったのです。心を入れ替えようと思った矢先、電車の中で目にしたのが「過払い金返還」の広告でした。10年に改正貸金業法が完全施行され、消費者金融にお金を払い過ぎている可能性があった私は法律事務所を通じて過払い金の返還請求手続きをしました。その結果、借金の残高は一気に130万円に。そこからは生活全般を見直し、コツコツ返済しました。返済が急務であることを常に自覚できるよう、部屋の机の上に明細を貼って自分を戒めました。少しでも手元にお金があると返済に回し、2年弱で借金を完済できました。今は結婚し、年間100万円ペースで貯蓄もしています。あのときに苦しんだからこそ、大切にお金を使うようになりました。

●藤川さんからアドバイス
カード払いは月収の範囲内にとどめて

「カードで散財している人は多いですが、『先に使って(借金をして)、後から返す』のはお金の使い方として順番が逆。月収で払える分だけ使うのが鉄則です。返済する過程は“お金に強くなるレッスン”。完済後は月々返済していた分と同額を貯蓄に回すといいでしょう」。

年100万円の赤字→貯蓄1100万円

鬱になった夫を支えて貯蓄がどんどん減っていく……(35歳・教育・秘書)

●お金の「しくじり期」

 結婚して2年目を迎えた頃、夫が激務から鬱病を患い、休職することになりました。当時、夫の月収は残業代などを含めて30万円前後でしたが、休職後の月収は9万円に激減。私の月収23万円が生活の糧になりました。

 新築のマンションの家賃15万円に、鬱病の治療費2万円。食費を切り詰め、無駄遣いをしないよう心がけていましたが、夫婦で300万円近くあった貯蓄は毎月10万円のペースで減っていき、2年間で100万円を切りました。夫の前では明るく「なんとかなるさ!」と振る舞っていましたが、「このまま休職が続いたらどうしよう・・・」と、先の見えない不安に押しつぶされそうな毎日でした。

こうV字回復した!

 治療のかいもあり、夫は体調を崩し始めてから2年ほどで復活。月収は再び30万円前後になりました。夫の休職中にお金の使い方を見直した分、その後は年間で200万円近く貯蓄ができるように! 貯蓄額は5年で1100万円を超えました。

 夫と私の収入はすべて私が管理し、無駄遣いをせず毎月決まった予算の範囲内でやりくりしています。私も彼も、いつ体調を崩したりするか分からないので、今のうちに少しでも多く貯蓄するよう心がけています。彼は相変わらず残業の多い日々ですが、よりよい職場環境で働けるように転職活動中。私も全力で応援しています。

●藤川さんからアドバイス
共働きは最大のリスクヘッジになる

「共働きの場合、夫や妻が体調を崩して働けなくなっても、どちらか一方の収入があるのが最大の強み。逆に妻が稼いでいないと、鬱病の夫に対するプレッシャーが高まることも考えられます。再び体調を崩す前に働き方を見直すことも、リスクを軽減する方法の一つです」。
この人に聞きました
藤川 太
藤川 太さん
ファイナンシャルプランナー
「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり、2万件を超える世帯の家計の見直しを行う。資産運用、家計管理などに精通し、「普通の人」でもお金を貯められる・ふやせる方法をアドバイス。『小遣いは削るな!』(サンマーク出版)など著書多数。

取材・文/瀬戸久美子 イラスト/ユリコフ・カワヒロ

日経WOMAN2015年7月号掲載記事を転載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。