健康保険がきかない妊婦健診費用を自治体が助成してくれる

妊娠中は定期的に妊婦健診を受ける必要があるが、妊娠は病気ではないので健康保険が適用されず全額自己負担になる。そこで各自治体は、国が推奨する14回分の健診費用を助成している(助成の金額や内容は自治体によって異なる)。母子健康手帳と共に14回分の受診券が配られ、それを病院に提出すれば、無料または一部負担のみで受診できることが多い。




負担の大きい不妊治療の費用を助成 16年度からは年齢制限も

健康保険がきかず費用が高額になりがちな不妊治療の、経済的負担を軽減する制度。16年度からは助成の対象が42歳までとなり、通算の助成回数が6回(40歳以降に治療を開始した場合は3回)になる。助成金額は治療ステージにより異なり、東京都の場合、各ステージの上限額は1回7万5000円〜25万円。所得制限があり、申請日前年の夫婦合算の所得が730万円未満の夫婦が対象。


(C)PIXTA
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0歳〜中学生の子育て費用をサポート出産後すぐ手続きを

子育て家庭を経済的に支援するために、保護者に支給されるのが「児童手当」。支給額は下の通りだが、所得制限があり、夫婦で収入の高いほうの年収が875.6万円(共働き・子ども1人世帯)以上の場合は月額一律5000円。毎年2、6、10月に前月までの4カ月分がまとめて振り込まれる。申請の翌月分からの支給となるので、もらい損ねないように産後すぐに手続きをしよう。

●支給額
▪0〜2歳まで(第3子以降は小学校卒業まで)…月1万5000円
▪3歳から中学校卒業まで…月1万円
(※所得制限を超える場合はいずれも月5000円)




自治体が子どもの医療費を助成

子どもが病気やケガで病院を受診したり、入院したりしたときの医療費を、全額または一部助成してくれる制度。自治体により対象となる子どもの年齢や助成内容が異なり、所得制限がある場合も。健康保険に加入していることが条件なので、子どもが生まれたらなるべく早く加入させて助成を受ける手続きを。



●知らないと損!
非正規社員の人は社会保険への加入が重要!

非正規社員の人が国からもらえるお金の種類をふやすには、各種社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険)に加入できる職場や働き方を選ぶことがポイントだ。加入の条件は右表の通り。社会保険料が給料から天引きされる分、毎月の手取り額は減るが、病気やケガ、出産、老後など、困ったときにもらえるお金の種類は増える。すでに条件を満たしているのに加入していない場合は、職場に相談してみよう。

この人に聞きました
井戸美枝
井戸美枝さん
社会保険労務士・FP
お金の専門家として、講演や執筆活動を通して家計や年金などについて分かりやすく解説。厚生労働省社会保障審議会企業年金部会委員も務める。近著は『知ってトクする! 年金の疑問71』(集英社)

取材・文/井坂真紀子

日経WOMAN2015年3月号掲載記事を転載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。