野菜を最初に食べる「ベジファースト」は、血糖値を上げにくく太りにくい食べ方だと知られています。しかし、肉や魚から食べ始めても血糖値が上がりにくいことが判明。注目の、新たな食べ方、ご紹介します。

 野菜を最初に食べ、そのあと糖質を含む食品を食べると、血糖値の上昇が抑えられる。これは、血糖値を上げにくい食べ方として広く知られている。しかし、最新の研究によって、肉や魚から食べ始めても血糖値が上がりにくいことがわかった。研究を行ったのは、医師で、関西電力医学研究所副所長の矢部大介さんだ。

 「健康な方、2型糖尿病の方を対象としましたが、いずれの場合も、肉や魚から先に摂取する方が、米飯から先に摂取する場合よりも、食後の血糖上昇が抑えられることがわかりました」(矢部さん)。

 カギは、消化管から出るホルモン「インクレチン」。糖尿病治療に携わる矢部さんが注目してきたホルモンだ。

 「肉や魚を先に摂取した方が、米飯から摂取する場合よりも、インクレチンの分泌が多くなります。インクレチンは、血糖値を下げるインスリンを増やすとともに胃の動きを緩やかにします。その結果、血糖上昇が抑えられると考えられます」と矢部さん。

 ご飯と一緒に肉や魚を食べたい人も多いかもしれない。幸い、「野菜に加えて、肉や魚などのおかずを食べ始めて5分以上あけてからご飯を食べ始めれば、血糖上昇を抑える効果はある程度期待できる」(矢部さん)という。つまりご飯を“5分あとまわし”にすればいいわけだ。詳しくは、次週(11月21日公開予定)で解説しよう。

肉・魚を先に食べると血糖値の上昇が抑えられた
肉・魚を先に食べると血糖値の上昇が抑えられた
平均年齢38.4歳の健康な男性10人が対象。ご飯を食べたあとに魚を食べる、魚を先に食べる、肉を先に食べるという3パターンで血糖値の変化を調べた。魚や肉を先に食べたほうが血糖値の上昇が抑えられた。魚はサバの水煮、肉は焼いた牛肉だという (データ:Diabetologia;59,453-461,2016)