トマトにはダイエットや美肌に効く成分がいっぱい!

 トマトで有名なのは、リコピンの美肌効果。このほか、トマトジュースの摂取で血中の中性脂肪が低下したというデータもある。寺内教授は「トマトODAなどトマトの健康成分の複合的作用による」と分析する。

シミ、シワを防ぐリコピン

 赤い色素成分のリコピンが肌に蓄積し、紫外線などによる活性酸素の害から肌を守る。また、肌のバリア機能や保水機能を担う角層の新陳代謝も促す。これによって、シミやシワを抑える効果が期待できる。最新研究では、リコピンは昼や夜より朝にとるほうが吸収効率が高いことが分かった。

リコピンは朝にとると吸収が高まる
リコピンは朝にとると吸収が高まる
ラットを3群に分け、それぞれ朝、昼、夜の3食のうちいずれか1食をトマト乾燥粉末入りの餌にした。ほかの2食は通常食。4週間後に調べると、朝にトマト乾燥粉末入りの餌を食べた群が最も血中リコピン濃度が高かった(データ:カゴメ、日本農芸化学会2015年度大会で発表)

脂肪燃焼を促すトマトODA

 トマトODA(13-oxo-ODA)は不飽和脂肪酸の一種で、エネルギー代謝を活発にし、脂肪燃焼を促す効果があることが、近年の動物実験で明らかになった。皮の部分に多いので、皮ごと細かく刻んで食べると効率よくとれる。

トマトODAで中性脂肪が低くなった
トマトODAで中性脂肪が低くなった
肥満・糖尿病モデルマウスを2群に分け、トマトODAを0.02%または0.05%混ぜた餌を4週間食べさせた。結果、トマトODAなしの餌を食べた群に比べ、ODA入りの餌を食べた群は血中の中性脂肪の値が30%低かった(データ:PLoS ONE;7,2,e31317,2012)

コレステロールを抑えるトマトシドA

 機能性成分サポニンの一種で、コレステロールを抑える作用がある。種の部分に多い。最近では、やはりサポニンの一種でトマトに含まれるエスクレオシドA、エスクレオサイドAも、動脈硬化の予防や中性脂肪低下の効果があるとして研究が進む。


糖尿病を防ぐオスモチン

 トマトに含まれる植物性たんぱく質の一種。体内で糖の代謝を整えるアディポネクチンと似た働きを持ち、糖尿病の予防に役立つとして研究が進んでいる。トマトなどのナス科野菜に多く含まれている。

この人たちに聞きました
寺内公一
寺内公一教授
東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科
産婦人科医。女性健康医学講座で「『食』による女性の健康維持」をテーマに更年期症状の緩和に取り組む。キッコーマン、日本デルモンテと共同で、更年期女性を対象にしたトマトジュースの血清中性脂肪抑制効果なども研究している。
東京医科歯科大学女性健康講座
http://joseikenko.com/(PC),http://joseikenko.com/sp/(スマホ)

吉田和敬
吉田和敬研究員
カゴメ研究開発本部 自然健康研究部
商品エビデンス研究グループで、リコピンをはじめ、野菜の機能性成分の研究を担当。「朝、トマトを食べるとリコピンの吸収効率が高いのは、食事前の空腹時間の長さなど食事のリズムが影響しているようだ」。

取材・文/松岡真理 写真/鈴木正美 レシピ考案・料理/成沢正胡 スタイリング/石川美加子 栄養計算/原山早織(食のスタジオ) 構成/平野亜矢(編集部)

日経ヘルス2015年8月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります

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