これって常識? 卵のQ&A
Q.加熱しても栄養価は変わらないの?
A.たんぱく質の吸収は加熱したほうがよくなります
生卵でも加熱した卵でも、含まれるたんぱく質など栄養価は基本的には変わらない。ただし、たんぱく質は加熱で変性する。生より、多少加熱したほうがたんぱく質の消化・吸収率は高くなる。最も消化・吸収率が高いといわれるのは半熟。
Q.加熱するより生のほうが日持ちするって本当?
A.卵は火を通すと抗菌効果がなくなります
卵の白身には、抗菌成分のリゾチームが含まれる。リゾチームは病原菌などの細胞壁を溶かす酵素で、熱でその作用が失活してしまうため、加熱するとかえって傷みやすくなる。卵は、「保存は生、食べる直前に加熱」がベスト。
Q.いつぐらいまで生で食べられるの?
A.賞味期限=生で食べられる期限です
卵の賞味期限は時期によって異なるが、「生で食べて安全な期間」が賞味期限。ごくまれに卵の中にサルモネラ菌がいる場合があるが、賞味期限内ならサルモネラ菌が増殖する前なので生でもOK。冷蔵庫保管なら菌の増殖は遅くなるのでなおよい。
Q.殻や黄身の色は栄養価に関係あるの?
A.鶏の種類やエサで色が異なります
殻の色は栄養とは関係なく、種類の違い。殻が茶色い「赤玉」は、毛が茶色い地鶏などの卵で、白い殻の「白玉」は白い羽の鶏の卵。黄身の色の濃淡は、エサに含まれる色素量で左右され、カロテノイドを多く含むエサを食べた鶏は、濃い黄色の卵を産む。
Q.卵の正しい保存方法ってあるの?
A.パックのまま逆さに冷蔵保存しましょう
卵の殻には小さな穴がたくさん開いていて、呼吸や水分調整をしている。先が丸いほうには空気がたまる小部屋「気室」があり、これを上にしたほうが呼吸がスムーズにできるといわれる。まわりの雑菌が入らないように、パックのまま保存するといい。
「食べる」「つくる」「ひもとく」を軸に、食専門誌から週刊誌、テレビ、ラジオなどで活躍。食の仕組み、科学目線の調理法を探求し、これまでに9000個以上の卵を使い、ベストの調理法を探求し続ける。著書に『大人の肉ドリル』『新しい卵ドリル』(ともにマガジンハウス)など。
取材・文/堀田恵美 料理&レシピ作成/松浦達也 スタイリング/久保田朋子 栄養計算/内山由香(食のスタジオ) 写真/鈴木正美、福岡 拓(松浦さん)
日経ヘルス2017年7月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります
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