食事は「マグネシウムやビタミンB2は脳の代謝異常を改善することで片頭痛の予防に有用といわれる。和食中心の献立、特に大豆製品を意識して食べると、これらを効率よくとることができる」(五十嵐医師)。
また、頭痛体操は、肩周辺の筋肉がほぐれ、誘因の一つである肩こりやストレスの解消になるため、予防に有用とされ、頭痛のないときに継続して行うのがポイント。「ヨガも、深い呼吸やゆったりした動作が自律神経のバランスを整え、予防に」(五十嵐医師)。
予防にもなる頭痛体操
●腕振り体操
両足を軽く開き、体の軸を意識してまっすぐ立つ。腕の力を抜きひじを軽く張り、左右に振る。顔は正面を向いたまま動かさない。1、2、と心で唱えながら2分間続ける。
●肩回し体操
足を軽く開いて立ち、肩の力を抜いてひじを軽く曲げる。リュックサックを背負うような感じで両腕を前へ回す。次に洋服を脱ぐような感じで両腕を外側へ回す。各6回ずつ行う。
受診するほどではなく西洋薬はあまり使いたくないという人は、漢方薬を試す価値あり。「20年以上、片頭痛に悩まされていた人が、漢方だけで改善したケースも。今までの診療経験では、片頭痛の人には冷え性やむくみが多い。漢方はこうした体質を変えていくことで、頭痛を起こりにくくするようだ」(牧田院長)。痛みが起きにくくなる体質への改善が漢方の強み。なお、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)は、頓服(とんぷく)としても使える。
こんなことにもご注意を
緊張型頭痛の人は、こんな点に注意
強い痛みや吐き気を伴う片頭痛に対し、さほど強くないがジワーっと締め付けるような痛みがダラダラ続くのが緊張型頭痛の特徴。筋肉の緊張や血行不良が主原因で、背景にストレスがあることが多い。「女性は介護や子どもの独立、夫の定年退職など、40~50代以降に環境の変化によるストレスがかかりやすいため、発症しやすい傾向に」(五十嵐医師)。痛み始めたら頭痛体操などの運動や入浴で血行を促し、筋肉をほぐすようにすると早く治る。
牧田産婦人科(埼玉県新座市)
関西医科大学卒業後、慶應義塾大学産婦人科学教室入局。2008年より現職。慶應義塾大学病院産婦人科に併設の更年期外来の診療も兼務。婦人科領域では数少ない頭痛専門医。
富士通クリニック(川崎市中原区)・東京クリニック頭痛外来担当
北里大学医学部卒業。宮内庁病院第二内科医長、神奈川歯科大学附属横浜研修センター内科学講座教授などを経て2012年より現職。北里大学医学部客員教授兼任。日本頭痛学会理事・専門医。
取材・文/渡邉真由美 構成/黒住紗織
日経ヘルス2015年5月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります
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