30年前の懐かしいレシピを再現

 宇梶さんが中学生の頃お気に入りだったレシピ「ミルクティー クッキー」。何度も作っては、バターや砂糖など分量を微調整してアレンジしていたとっておきの一品です。今回は、その懐かしいレシピを再現してもらいました。

「ハートマークが付いたレシピはお気に入りだった印です(笑)」
「ハートマークが付いたレシピはお気に入りだった印です(笑)」

<材料>(約30枚分)
バター(無塩)…85g
粉砂糖…40g
紅茶の葉(アールグレイ)…小さじ2 ※ティーバッグの中身または茶葉を包丁で細かくカットする
薄力粉…140g
ベーキングパウダー…小さじ1/4
薄力粉(打ち粉用)…適量
生クリーム…25g

<作り方>
1.バターは室温に置いて軟らかくして、泡立て器で白っぽいクリーム状になるまで練る。粉砂糖を数回に分けて加えてすり混ぜ、生クリームを加えて混ぜる。

2.紅茶の葉を加えて泡立て器で混ぜる。葉が大きくて不ぞろいならば包丁で細かく刻んでから加える。

3.薄力粉とベーキングパウダーを合わせてふるい、その1/3量を加えて泡立て器で手早く混ぜる。全体的に均一に混ざったら木べらに替え、残りの粉を加えて混ぜる。ボウルを回して木べらの底をすくうようにしながら、ぽろぽろした粉がなくなって全体がひとまとまりになるまで混ぜる。

4.ビニール袋の片側の脇と底を切って1枚に開き、片側に生地をのせ、ビニールをかぶせて、手で上から生地を角度を変えて4~5回ギュッと押し、中の空気を抜いて直径5cmほどの四角い棒状にまとめる。冷蔵庫で冷やし固める。

5.カットできる硬さに固まったら、厚さ5mmほどにスライスし、天板に並べる。180℃のオーブンで10~15分焼く。

「30年ぶりくらいに作ったのですが、懐かしく味を思い出しました」と、宇梶さん
「30年ぶりくらいに作ったのですが、懐かしく味を思い出しました」と、宇梶さん

料理研究家としての、これから

 日経ウーマンオンラインの連載では、忙しく働く女性に合わせて「節約」「時短」などのレシピを毎月考案していただいている宇梶さん。しかし、専門はイタリアの郷土料理研究家。これからはどんなことに挑戦していきたいと思っているのでしょうか。

イタリア北西部リグーリア海岸沿いのチンクエ・テッレ(5つの土地)。「友人とのイタリア「食の旅」で、崖の上にあるレストランからの帰り道、カラフルな家々に夕陽が差した光景があまりにも美しく忘れがたい思い出です」(宇梶さん)
イタリア北西部リグーリア海岸沿いのチンクエ・テッレ(5つの土地)。「友人とのイタリア「食の旅」で、崖の上にあるレストランからの帰り道、カラフルな家々に夕陽が差した光景があまりにも美しく忘れがたい思い出です」(宇梶さん)

「もっとイタリアの郷土料理を極めたいので、長期間イタリアに滞在してみたい。実際その土地に住んでみないと分からないことってたくさんあって。

 例えば、日本で食べるイタリア料理ってにんにくが効いているものが多い印象ですが、実際イタリアでは『においが気になるから』とあまり料理ににんにくは入ってない。それは行ってみないと分からないですよね。

 イタリア料理も好きだけれど、イタリアの文化ももちろん好き。なぜこの郷土料理が、ここでよく食べられているのか? その歴史的な背景や文化も知ることで、もっとその土地のことを好きになるんです」

ミラノ大聖堂(Duomo)のクリスマスツリー。「大好きな街ミラノ。バールでエスプレッソを飲みながらオシャレなイタリア人を眺めるだけでも刺激的です。ミラノから少し足を伸ばして湖畔リゾートの散策もおすすめ」(宇梶さん)
ミラノ大聖堂(Duomo)のクリスマスツリー。「大好きな街ミラノ。バールでエスプレッソを飲みながらオシャレなイタリア人を眺めるだけでも刺激的です。ミラノから少し足を伸ばして湖畔リゾートの散策もおすすめ」(宇梶さん)

 気になる! と思ったら、すぐ現地に行って、目で見てにおいをかぎ、舌で味わって五感すべてで「体感」したい。気になっただけで満足することなく、さらに掘り下げていく姿勢は、30年前に付け始めた古い1冊のレシピノートからも伝わってきました。宇梶さんの料理への飽くなき探究はまだこれからも続きそうです。

文/尾崎悠子 写真/スタジオキャスパー(ノート)、宇梶由里子