いかに効率よく短時間でExcelの作業をこなすか――そのテクニックの基本から裏技まで解説した書籍「ビジネスExcel完全版」(日経BP社)から、ぜひ覚えたい技をピックアップして紹介する。
今やExcelは、ビジネス現場には欠かせないツールになっている。誰でも当たり前に使っているが、ベテランと入門者とでは「時短力」に大きな差が出て、同じ作業を「5分でささっとこなす人」もいれば「20分も30分も悪戦苦闘する人」もいる。両者の違いは、ちょっとした作業を素早くこなすノウハウの積み重ねだ。
とはいえ、そのノウハウも分かってしまえば誰でも簡単に駆使できるようになる。いかに効率よく短時間でExcelの作業をこなすか。そのテクニックの基本から裏技まで解説した書籍が「ビジネスExcel完全版」。初心者でも迷わず使い始められるように、詳細な手順を画面を使って説明している。さらにExcelを使い慣れていると思っている人でも、目からうろこの時短ワザを満載した。
今回は本書からそのノウハウの一端を「みるみる腕が上がるExcelの手なずけ方」として全3回で紹介していく。
ドラッグだけで素早くデータを入れ替える
「こっちの項目が上になるように並べよう」「いや、やっぱりこの行のほうが先だな」──。表を作成するときには、必ずといっていいほど、このように試行錯誤を伴うデータの並べ替えが発生するもの。
どう操作すると一番効率がいいだろうか。地区別にまとめた支店ごとの売り上げデータの順番を入れ替えるケースで考えてみよう(図1)。
時短が全く身に付いていない初級者だと、まず思い付くのはコピペだろう。図1ならまず、名古屋と金沢のブロックを「切り取り」して、どこか別の場所に「貼り付け」して退避。その後、東京から大宮のブロックを「切り取り」「貼り付け」で上に移動し、退避しておいた名古屋と金沢のブロックをその下に移動する。これで取りあえず目的を達せられるが、時短という観点で本書が採点すると100点満点で50点だ。
えっ、「切り取り」を「Ctrl」+「X」、貼り付けを「Ctrl」+「V」のショートカットキーでやれば時間はかからない? 仮にそうでも60点しか付けられない。それ以上を望むなら、ドラッグ操作によるセル範囲の移動・挿入をぜひマスターしてほしい。
「Shift」で現れる「H」形が「ここに移動・挿入」のサイン
まずは、単体のセルを入れ替えるシンプルな例から見ていこう(図2)。
動かしたいセルをクリックして選択。そうしたら、その外枠にマウスポインターを合わせる。すると四方向矢印の絵柄が現れるので、その状態でドラッグする。上下左右に動かすと、それに応じて四角い枠が移動する。
重要なのはここから。挿入したい位置までドラッグしたら、「Shift」キーを押す。すると、それまで四角形だった枠が、ひらべったい「H」形に変わる。これは、「マウスボタンを離すと、この場所に移動・挿入されますよ」という目印だ。
「Shift」キーを押しながらマウスを動かして、「H」形を目的の位置に合わせたら、マウスボタンを離す。その際、先に「Shift」キーを離してしまうと、うまくいかないので注意する。思惑通りにセルが移動・挿入されたのを確認してから「Shift」キーを離そう。
このような操作を「Shift」+ドラッグなどと呼ぶが、「Shift」キーをずっと押し続けておく必要はない。位置合わせをする時と、マウスボタンを離す時に押していればよい。
複数行にわたる範囲も容易に入れ替え
表中の特定行を入れ替えるときや、数行にわたるブロックを入れ替えるときも基本的な手順は同じだ(図3)。入れ替えは「Shift」+ドラッグと覚えておこう。
「Shift」キーの操作が面倒だという人には、右ボタンによるドラッグすることも可能だ。セルやセル範囲を選択し、その外枠を右ボタンでドラッグ。目的の場所でマウスボタンを離すとメニューが開くので、処理方法を選べばよい。
なお、ドラッグ操作による移動・挿入では、書式を除外することはできない。ケイ線なども一緒に移動するので注意しよう。罫線を無視したセルの入れ替え(並べ替え)は本書で解説している。