怒りの4つの「性質」を知ろう

 そして怒りには、次のような4つの「性質」もあると、戸田さんは言います。それぞれの性質を解説してもらいました。

(1)怒りは高いところから低いところへ流れる

 「怒りには、『上司から部下』『先輩から後輩』『発言力の強い人から弱い人』というように、力の強いところから弱いところへ流れる性質があります。そのため、自分の怒りはもちろん、誰かに怒りをぶつけられたときに、それを他の人に連鎖させないことが大切です」

(2)身近な対象ほど強くなる

 「身近な相手には期待が高くなり、『これくらい分かってくれるだろう』と、甘えも生じやすくなります。そのため、気心の知れた相手には怒りが向きやすくなり、怒りの程度も強くなる傾向があります。長く一緒にいる相手でも、違う『べき』を持った者同士。身近な相手でも、伝えなければ分かってもらえないと心得ておきましょう」

(3)怒りは周囲に伝染する

 「怒りだけでなく、『うれしい』『楽しい』といった気持ちも含め、感情は周囲に伝染するという性質があります。怒りは強いエネルギーを持つ感情なので、他の感情よりも伝染しやすいのです。そのため、相手のイライラが伝染して自分までイライラしないように、また自分がイライラの発信源にならないように心掛けることが大切です」

(4)行動を起こすモチベーションにもなる

 「誰かにバカにされて怒ったり、思うような結果を出せなくて自分にイライラしたりして、『今に見てろ!』『今度こそ結果を出してやる!』と、奮起した経験が皆さんにもあるのではないでしょうか。このように、怒りは目的に向かって行動を起こすためのきっかけになることもあります。せっかくなら、怒りを建設的な行動に結び付けたいですね」