穴あけ問題を自作することが出発点

 穴あけ勉強法について前ページで簡単に説明しましたが、実践すれば知識の育み方をすぐに実感することができます。

 3月某日の夜、30代の女性読者4人が河合さんのもとに集まりました。彼女たちはそれぞれ、プロジェクトマネージャー試験や英語力アップなどに狙いをさだめて勉強中。しかし、勉強の方法やモチベーションの保ち方に迷いを感じ、「穴あけ勉強法」の真髄を学びにきたのです。そこで早速、考える力が身につく勉強術を体感していただきました。

 まず、手元に配られたのは、例文が書かれた1枚の紙。

 ドナルド・トランプは自信たっぷりに語った。

 「エスタブリッシュメントは、さぞ不満だろう。私は自分で選挙資金を賄い、彼らの金を受け取らない。制約を受けずに米国民のために正しいことをしていく」

 企業のロビー活動や共和党主流派を皮肉り、党の異端児であることをむしろ誇った。


~以下省略~

 「穴あけ問題」による勉強は、例文をもとに穴をあけた問題を作ることから始まります。「ノートの1ページを縦半分に折って、左側には穴をあけた問題の文章、右側には穴に入る答えを書き込むといいですよ」と河合さん。

 難しく考えず、なんとなく引っかかりを感じたキーワードを【        】に入れるのがコツなのだそう。

 5分間の問題作成タイムを設けると、多い人は14問、少ない人でも6問ものドナルド・トランプに関する「穴あけ問題」ができあがりました。作成された問題の一部は以下のようなものです。

(1)【        】は、さぞ不満だろう。

(2)私は自分で【        】を賄い、彼らの金を受け取らない。

(3)企業のロビー活動や【        】主流派を皮肉り、党の異端児であることを誇った。

 できあがった穴あけ問題を見ながら、「ただ文章を読むときとは違い、穴に入る言葉を埋めようとして脳内キャッチボールが始まるのを実感できますよね」と河合さん。

 自分で問題をつくった4人も口々に、「読むだけだと頭を通り過ぎていくような内容が、『穴あけ問題』になった途端に目を引き、立ち止まって覚えられるような気がします」と感心した様子。

 このように、穴あけ問題を自作したノートを持ち歩き、常日頃、読んで、脳内キャッチボールをすることが大切なのだそう。さらに効果的なのが、【        】に入る言葉を覚えながら、知識を深めるための「知識のアメーバ化」を行うこと。次のページで解説します。