家計簿は手書きがいい理由

(C)PIXTA
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 マンガの中にも出てきましたが、家計簿についてもう一度おさらいさせてください。

 どんな家計簿を付けていますか? 今やスマートフォンの家計簿アプリを利用している人も多いのではないでしょうか。

 最近の家計簿アプリはとても優秀。レシートをカメラで撮影するだけで金額が記録できたり、口座残高やクレジットカードの利用記録と連動して支出を自動で記録してくれたり、最小限の手間で収支を記録できるものがたくさんあります。

 「アプリのほうが楽だし、続けられそう」「なにも面倒な手書きで家計簿を付けなくても…」と思う人も多いでしょう。

 でも私は、初めは手書きで家計簿を付けるほうがいいと考えています。それはなぜか、主に次の三つが理由です。

1 「手書きする時間=振り返る時間」になる

 家計簿アプリは、数字がデータ化されるので、各項目をグラフ化したり、昨年の数字をチェックしたりするのにはとても便利なツールです。しかし、簡単に記録できる分、記録したことに満足して、自分のお金の使い方を振り返ることが少ないような気がします。

 家計簿は、記録することよりも、その後の見直し・分析が大切です。

 その点、手書きの家計簿は、毎日、金額を記入するとき、「今日は浪費が多かったな」「この支出は浪費と消費のどちらだろう」とお金の使い方を見直すことができますし、ペラペラとページをめくって「少しずつ消費が減ってる!」と変化を実感することもできます。

 スケジュールをスマホのアプリに記録しておくより、スケジュール帳に書き込んでおいたほうが見直す機会が多いと感じませんか? それと同じです。

 家計簿を付ける最大の目的は、自分のお金の使い方を把握することです。そのためには、毎日、自然に支出の内容や傾向を振り返ることができる手書きの家計簿が有効なのです。

 自分の使い方を把握し、軌道修正できるようになれば、手書きの家計簿はやめても問題ありません。その後は、記録として家計簿アプリを利用するといいのではないでしょうか。

2 アレンジしやすい

 手書きの場合は、自分が使いやすいようにアレンジすることも可能です。大学ノートを使えば、自分に必要な項目が書き込めるように、オリジナルの家計簿が作れます。自分の目標や夢を書き込む「夢ノート」と家計簿を合体させて、一つのノートにまとめることもできるでしょう。

 また市販の家計簿ノートを使う場合でも、メモスペースに、感じたこと、これから改善すべき点などを書き込んだり、貯金残高を目立つようにしてモチベーションアップにつなげたり、自分なりの工夫ができます。

 手書きだからこそ、自分のお金のクセが分かりやすく、有意義なお金の使い方が意識しやすい家計簿を作ることができるのだと思います。

3 「書く」ことで意識化する

 ある研究では、授業内容をパソコンで打ち込む学生よりも、手書きでノートをとる学生のほうが成績が良いという結果が出ているそう。

 漢字や英単語を何度も書いて覚えた経験のある人なら、「手で書く」という行為が、記憶力アップにつながるのは、経験として実感している人も多いのではないでしょうか。

 家計簿も手で書くことで、より頭にインプットされやすいように思います。だからこそ、「今月は浪費のペースが速い気がする」「投資ができていないな」などと、家計の状態を意識しやすいのです。