ベッキーが放つ言葉の破壊力

 多分、彼女は言葉を扱わせたらすごい人だと思う。

 だから、どこかの広告制作会社の丁稚になって、コピーの勉強をすごく頑張って、ベッキー作のコピーを使ったCMができて、コピーライター・ベッキーとあったら、みんな許す気になる。

 それも、だいたい広告にはコピーライターが5人ぐらい関わるから、末席にベッキーの名前を記す。

 例えば、セカンドチャンスがあるという内容の、弁護士による過払い請求を促すCMのコピーをベッキーが作る。オレならそうやってベッキーを復帰させる。

 9月には宝島社の新聞広告にベッキーが出たけど、あれは目立ち過ぎ。自分が主役でしょ。

 売れっ子のフリーのコピーライターになって、ようやく最高の禊(みそぎ)がすんでメディアに自分自身が出れるようになるんじゃないかな。ただ、この話を山本一郎氏にしたら「そりゃ違うよ。ベッキーは自由に言葉が言える状態だったからこそ『センテンス スプリング』を生み出せたけど、仕事として言葉を扱わせたらその才能は発揮できないんじゃね?」なんて言われた。

 実は今度、広告代理店関連の本を書くことになった。内容は、広告代理店はどんな仕事をやっているのかとか、労務の実態とかをまとめた本だ。

 今は、代理店が叩かれまくるというとんでもないバカな状況にあって、現場の士気が落ちているからそれを上げたいと思っている。

 2017年の春頃に出るかもしれない。よかったら読んでみてください。

中川淳一郎
1973年東京都生まれ。97年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)に配属。2001年、もはやサラリーマンは無理だと悟り無職になる。そこから様々な人との縁からフリーのライター・編集者に。現在は、「NEWSポストセブン」編集者など、ネット上のコンテンツの編集業務を主な仕事とする。
著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』(星海社新書)、『節約する人に貧しい人はいない』(幻冬舎)、『仕事に能力は関係ない。27歳無職からの大逆転仕事術』(KADOKAWA)、『バカざんまい』(新潮新書)など多数。
毎年年末は海外に旅行に行くことにしているそう。最近一番良かったと思った国はチェコ。理由は「ロマンチックという言葉があるけど、それを一番感じるから」。

*後編はこちら 「ネット編集者から見た2016 ショーンK復帰プランも」

文/大塚千春、写真/小野さやか