なぜ炎上CMが出来上がってしまうのか?

 広告というものは世間に出る前に、法務部で薬機法に抵触していないかとか、コンプライアンスの部署で、ネットで炎上しそうかどうかといった厳重なチェックを受ける。

 そうした中で、どうしてああしたことが起きてしまうかというと、広告代理店の仕事のやり方とも関わっていると思う。会議で盛り上がると異論が言えなくなるんだ。

 誰かがアイデアを出したとして、クリエイティブディレクター(プロジェクトチームのトップ)がそれいいなと言うと、「おえらいさんが言うなら」という空気ができる。

 実際、「インテグレート」はドラマっぽくていい企画ではある。そうすると、プロジェクトチームは異論をはさめなくなるんじゃないかと思う。

 男性のコンプレックスや性的話題はCMでも笑いにできるけど、女性はできない。

 鹿児島県志布志(しぶし)市が9月に公開したふるさと納税のPR動画も炎上し公開が中止となった。

 これは同市特産の養殖ウナギを擬人化した美少女が登場し、最後に言う「養って」との一言が援助交際を連想させたことによる。

 「養って」というのは養殖であることを指すんだけど、本当はそれを言う必要はなくて、「志布志のウナギ最高!」で良かった。または、女性だけでなく、ウナギを擬人化した男性も登場させていれば問題はなかったはずだ。

 また、今春には、矢口真里を使った日清カップヌードルのCMもお蔵入りになった。

 不倫騒動を起こした彼女が危機管理の権威の役で出てきて叩かれた。叩く方がおかしいという話もあるけど、あの頃はまだ彼女には追い風が吹いていなかった。