沼田まほかる原作のベストセラー・ミステリー「彼女がその名を知らない鳥たち」が待望の映画化。「共感度0%、不快度100%だけど、これぞ究極の愛の物語」といわれる本作において、主人公・十和子を演じた蒼井優さん。十和子のような「嫌な女」にならないためにはどうすればよいのでしょうか。お話を伺いました。
寂しさを埋めるだけの恋愛はアリかナシか
映画「彼女がその名を知らない鳥たち」で蒼井さんが演じた主人公・十和子は、一言で言ってしまうと「嫌~な女」。
一緒に暮らす男・陣治(阿部サダヲ)のことを不潔で下品だと嫌悪しながらも、働きもせずお金の面で依存し、8年前に別れた男・黒崎(竹野内豊)を、夜な夜な思い続けている。
読者の方のなかには、妥当なところで手を打って、「彼氏がいないよりマシ」と好きでもない相手と付き合う……なんて経験のある人もいるのでは。そんな十和子のような恋愛をする人に、蒼井さんならどんなアドバイスをするのでしょうか。
プライドだけで判断しているうちは良い結果につながらないかも
「長い間一緒にいることで新鮮味がなくなったり、関係性がダレてくることはどうしてもあります。付き合った頃のような100%の愛情を持ち続けることも、難しいですよね」
付き合い始めほどの愛情はなく、他にすてきだと思う人がいたとしても、それまでの情もあり、関係を切ることには慎重になってしまうもの。しかし、そんな決して良いとは言えない関係を続けることに、危機感を持つことも必要だと、本作は気付かせてくれるはずです。
「十和子は無駄にプライドが高い女性で、自分と陣治がお似合いだとは絶対に認めないけれど、陣治と一緒に暮らし続けている。そこには十和子なりの葛藤があるんですけれど……、演じていて不思議な体験でした」
確かに人にはそれぞれの理由があり、好きになった相手を信じたい気持ちは分かります。しかし自分のちっぽけなプライドだけで判断しているうちは、良い結果につながらないかもしれません。蒼井さん自身、原作を読んだときには気付かなかった十和子の葛藤を、演じながら感じることができたそう。
十和子の高過ぎるプライドに対し、身の程を知るべきと思ってしまいますが、いざ自分に置き換えてみると反省すべき点が多く見えてくるのも、本作の醍醐味の一つと言えます。