やりたくない理由を考えてみて

――勧められた仕事の内容はイヤじゃない、けれど、新しい仕事や人間関係を始める勇気がない、という読者も多いのではないかと思います。

 勧められた仕事、ポジションをやりたくない理由が「私にはその能力がないから」「自信がないから」「失敗するのが怖いから」というものだったら、その思いはいったん引っ込めて、踏み込んでみてもいいのでは? かつて誰かに見込まれて声をかけられた、ということが自尊心を温める唯一の思い出話になるのは一番みっともない気がする。

 仕事においては、あまり謙遜してばかりではもったいないと思います。合コンでもないし女友達でもないから、「私なんか」って言っていても、誰も慰めてくれません。次の人にチャンスが巡っていくだけだと思います。

そもそも、本当に踏み出したいの?

――「自分はこのままでいいのだろうか、一歩踏み出してみたい」と考える人も多いです。

 地道にコツコツやっている人が、そもそも踏み出したいのかは、考えたほうがいいと思うんですよ。

一歩踏み出せない私は、どうすればいい? 教えて、ジェーン・スーさん! (c)PIXTA
一歩踏み出せない私は、どうすればいい? 教えて、ジェーン・スーさん! (c)PIXTA

 世の中、踏み出すことを煽るし、今は会社員の時代じゃない、起業の時代だっていう人もいますけど、「んなわけない」ので。自分自身が好きな仕事、得意な仕事を毎日気持ちよくやれるのが一番だと思います。そこで踏み出さない自分を肯定的に見てもいいんじゃないかな。生活のために働いていて、仕事に夢中になれない自分がいても、それを責めないでほしい……。人それぞれなんですよね、仕事観って。