モデル、男の子二人を育てる母、市民トライアスロンのトップ選手。マルチステージを自分らしく生きる道端カレンさんへのインタビュー第2回は、小さなステップを積み上げていく成長のプロセスをお話しいただきました。「地道な努力は嫌いじゃない」――そう思う人は共感すること間違いなし!

第1回 トライアスロンで急成長―道端カレンのマルチな人生
第2回 「すべては小さなステップの先にしかない」(この記事)
第3回 入院・手術を越えて見えてきたもの


カレン流、ヨガとトライアスロンの意外な共通点

――前回は、産後1日3分のテレビ体操から始まり、強豪市民トライアスリートへと成長されてきた過程をお伺いしました。運動で心身のバランスを取ることは、特にデスクワークでは大切ですよね。日経ウーマンオンラインの読者アンケートによると、ヨガをされる方が目立ちます。教室も多いし、自宅でもできて、生活に取り入れやすいようです。道端カレンさんも一時ヨガを続けていましたね。

道端さん(以下、敬称略): はい、私も昔ヨガをしていましたし、今でも人に勧めています。特に運動と距離のある女性にいいきっかけになっていますよね。私の4、50代の友達には、体育の授業のようなヨーイドンで競走とか、球技とか、息を切らすような運動にいい思い出がない女性って多いんです。でもヨガに出合って、「実は私、体を動かすの好きなんじゃないかな」と気付いている方が多いです。私の親世代にもできるような易しいものもありますしね。

「ヨガがきっかけで体を動かす喜びに気付く女性は多いのでは」と道端さんは話します
「ヨガがきっかけで体を動かす喜びに気付く女性は多いのでは」と道端さんは話します

 私は一人目を妊娠した時の、病院内のマタニティー・ヨガが最初です。マタニティー向けのもので、「あぐらの姿勢で腕を上げて手のひらを重ねて、息を吐きながら、花のポーズ!」といった簡単なものですが、それだけでも体が伸びて、たくさん空気が入って、エネルギーを感じて、すごく元気になる気がしました。ヨガは、産後にスクールに通い始めてからトライアスロンを本格的に始めるまで、ずっと続けていました。トライアスロンまでの「小さなステップ」の一つになっています。

 ヨガの考え方が、私は大好きです。「今日難しいポーズができるかより、そのポーズにたどり着くまでの過程を楽しむ」という考えです。昨日はこのポーズができたのに今日はなぜかできない、ということもあるけど、それも自分の体と対面する時間なんですよね。最終的にいろんな難しいポーズができたとしても、そこに行き着くまでに自分の体の調子を知ることのほうが大事。そのために体を動かすのがヨガなんです。結果よりも過程、というのはトライアスロンでも同じだと思っています。

――では、ヨガとトライアスロンの違いは何でしょうか?

道端: 私はトライアスロンの激しさが好きです。その先に華々しいゴールが待っているからです。終盤はとてもつらいのですが、進んでさえいればゴールラインが近づいてくる。そして、立派なゴールゲートをくぐる。それがうれしいんです。最後に待っている喜びがとても大きいのは、そこまでの苦しい過程がゴールに結び付くからだと思います。

 だから一度トライアスロンを体験すると、私みたいにそこからハマっていく人は多いです。タイムや成績、数字が見えることも楽しいんですよね。

 一方でヨガの魅力は、現実からいっとき離れて、自分の心を見つめてリフレッシュできることですね。ランニングでも、そうしている人はいますよね。タイムなどを気にせずに、1日のことを見つめ直しながら自分のペースで走るような。

 体を動かす目的はいろいろありますが、共通しているのは、精神にとてもいいということなのだと思います。「健全な精神は健全な肉体に宿る」といいますよね。特に、お仕事をしていて、自分磨きをして、勉強して、あるいは子育てもして……などと目まぐるしい時間に追われていても、体を動かす時間が少しでもあると、切り替えになっていいですよね。