制度の本質を見極めて、真の社会的責任を果たそう

高山:まとめると、寄付にはリターンを求めず、純粋に社会貢献として行うことが大切ということですね。

中野:そうですね。投資にお金を投じる場合には、ファイナンシャルリターンをしっかり得るべきだと思います。でも、寄付は先ほどもお話したように、自己満足的な、エモーショナルなリターンは求めてもよいですが、ファイナンシャルリターンを求めるべきではありません。ふるさと納税もみんなが返礼品を求めることで、過熱してしまい、結果的にせっかく集まった寄付金の多くが返礼品に使われることになってしまった。

高山:世の中でお得といわれている制度の仕組みを自分自身でよく理解して、その上で活用の仕方を判断することが大切ということですね。

中野:そうですね。仕組みがきちんと理解できれば、ふるさと納税に限らず、どの制度も正しい使い方ができるはず。本質をしっかり見極めて、大人の人間として、社会的使命をしっかり果たしてほしいですね。

文/高山一恵 写真/PIXTA

プロフィール
中野晴啓
セゾン投信社長
中野晴啓(なかの・はるひろ)さん
1987年クレディセゾン入社。セゾングループ内で投資顧問事業を立ち上げ運用責任者として資金運用等を手がける。2006年セゾン投信を設立。公益財団法人セゾン文化財団理事、一般社団法人投資信託協会理事。全国各地で年間150回講演やセミナーを開催。著書に「個人型確定拠出年金iDeCoで選ぶべきこの7本!」(ビジネス社)「お金のウソ」(ダイヤモンド社)など多数

高山一恵
Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー
高山一恵(たかやま・かずえ)さん
2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めた後、現職へ。女性と女性FPのマッチングメディア「FP Cafe」を運営。全国での講演活動、執筆・相談業務を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書に「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)「一番わかる 確定拠出年金の基本のき」 (スタンダーズ)」など多数