フリーに向いている人とは

 フリーは「貧乏になってもいい」と思える人しか向かない。オレは博報堂の社員から無職となり、最初の年の稼ぎは60万円。例えば現在、年収400万円ぐらいの事務職の女性だったとして、それに耐えられるかどうか。

 更に、会社を辞める時には、300万円ぐらいの蓄えはあった方がいい。貯金があった方がいいのは、財政的に余裕があるうちに色々なことが試せるからだ。それだけの貯金があれば、少しずつでも収入を得られれば、2年は持つ。その2年の間に無謀な挑戦ができる。例えば、フリーって1ヵ月全く仕事がないなんて時もよくある。貯金があれば、その1ヵ月間映画を観まくってもいい。そうすると、その1ヵ月でかなり知識が増えたりして、後の仕事に役立ったりする。

 後編では、専門的な知識や経験がない人でも向いている職種について、話をしようと思う。

後編はこちら→事務職OLからフリーライターや編集者になる方法

文/大塚千春、写真/小野さやか

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)

1973年東京都生まれ。97年博報堂入社、CC局(現PR戦略局)に配属。2001年、もはやサラリーマンは無理だと悟り無職になる。そこから様々な人との縁からフリーのライター・編集者に。現在は、「NEWSポストセブン」編集長など、ネット上のコンテンツの編集業務を主な仕事とする。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』(星海社新書)、『節約する人に貧しい人はいない』(幻冬舎)など。今年5月末、有料サイトcakesでの連載「赤坂のカエル」をまとめた書籍『仕事に能力は関係ない。27歳無職からの大逆転仕事術』(KADOKAWA)を上梓。
 無頼派でありながら、携帯も「ニンテンドーDS」もラブリーなピンク色。「趣味じゃない」と言いつつ、知り合いがくれたからとサンリオの「KIRIMIちゃん.」のペンケースを愛用する人情家。