相手は男子じゃなくて、女子でも、猫やアニメのキャラでもいい

営業ウーマンの田中ミズホが、主人公に向かって放った名言 (C)おかざき真里/祥伝社フィールコミックス
営業ウーマンの田中ミズホが、主人公に向かって放った名言 (C)おかざき真里/祥伝社フィールコミックス

――1日1王子! 新しいですね。「サプリ」の登場人物である営業ウーマンの田中ミズホがタンカを切った「男一人に支え切れる程度の人生かよ!」との名言がありますが、まさにそれ。分散させるということですよね。

おかざき:分散させるといいんです。私はビリヤードや麻雀にも励んでいたので、それぞれの遊び仲間がいて、彼氏もいて、王子もいて、みんなにストレスのグチを吐いていた。分からないことを教えてくれる人も会社にいた。彼氏にはもちろんそういうことは言いません(笑)。

――「サプリ」に渡辺ユキという事務職のキャラクターがいて、仕事よりも一人の男性との結婚を望んで、恋愛ではなくお見合いで結婚しましたね。一人の人に自分の人生を背負ってほしい、そういう価値観を持つ人はどうすればいいでしょうか。

おかざき:分散するといいぞ、ということに気が付くかどうか、なんです。相手は男子じゃなくて女子でもいいんですよ。もちろん猫でいい。アニメのキャラでいい。一人に背負わせると、たいがい男はそのうち逃げます(笑)。背負うのがうれしい、なんて初めのうちは言っていても、やがて息切れしちゃうの(笑)。一人の人に背負ってほしいと思ってしまう自分の気持ちに自覚的であることは大切。2年もしたら、全部は背負ってくれなくなりますからね。

中川:僕の知り合いに、某IT企業の社内結婚だったのが離婚した同世代の夫婦がいるんですが、妻は「家に帰りたくない」と悩んでいてね。最近でも渋谷のスナックで悩みを打ち明けられたりした。そのうちに「離婚しました!」と言うので驚いたんですが、その後、元夫の方が20歳ぐらい離れたひどく若い女の子と手をつないで歩いているのを僕、見かけてしまって。あれは元奥さんに「離婚してよかったね」って思いましたけれどね。元からあなたとは合わなかったんじゃないの? と。

――過酷な仕事現場であるが故に、皆さん人生いろいろありますよね。「サプリ」にも、お見合いで結婚する人、難しい恋愛を経て結婚する人、一人で出産する人、いろいろな女性が描かれていて。女性の姿に多様性があって、生き方は一つじゃないんだ、と元気が出ました。

おかざき:「サプリ」を描くときに最初に決めたことは、「女性はみんな自分の人生に真面目である」ということ。真面目な女子って、親の「幸せになってほしい」という期待に応えられないのが一番つらいんじゃないかな。ここで問題なのが、不幸のパターンはいくつもあるのに、幸せのパターンは少ないこと。