高齢者が離脱、若者が残留支持!

高山:今回の国民投票は、18歳から24歳の若者の70%が残留、65歳以上の高齢者の60%が離脱に投票と世代間の格差があったようですね。

中野:若い人は、生まれたときからEU世代なんです。EU内であれば、パスポートなしで自由に行き来できるわけです。イギリスからドイツ、フランス、イタリアなど、自由自在にいけるんですよ。若い世代は国境を越えて転校もできるなど、進学先から仕事先まで自由に選べるメリットを感じていたし、国外を見る機会をたくさん持つことにより、グローバルな視点が備わって、グローバルに国を維持することの重要さが分かっているわけです。小さな島国に固有な価値観や文化とはちがう、大陸欧州のそれらを実体験しているのですね。

高山:若者がロンドンの国会議事堂付近でデモをしている姿を見ました。若者にとっては、EU加盟国であることのメリットが大きかったんでしょうね。

中野:多くの高齢者は、EU市民の一員という意識は薄く、英仏海峡によって地理的に離れていることに加え、過去何世紀にも渡り、ドイツ、フランス、スペインなどと戦争をしてきた歴史があります。高齢者の多くは、大英帝国の誇りを捨てきれず、島国であることから、一国でもやっていける、他国から干渉されたくないという気持ちをもっている人が少なくありません。

高山:島国という点では、日本も今回のようなことが起こった場合、イギリスと同じような結果を招く可能性が高そうですね。

中野:本当にそうですよ。日本で同じことが行われた場合、うっかりすると国民の8割が離脱に投票したのではないでしょうか。

ワイドショーではなくて、CNNを見る習慣を!

高山:8割ですか……。

中野:そうです。それは、日本人の多くは国から出ず、海外に行きませんよね。日本は若い人もその傾向が顕著です。

 サッカー選手の本田圭佑が、「リュックを持って外に出ろ!」と言っていたのですが、名言だと思いましたね。なぜ日本のサッカーがだめなのかというインタビューに対して、日本のサッカーは、内向きで、世界のサッカーがいかにすごいかが分かっていないからだと言っていました。世界を見れば、自分たちのレベルがいかに低いか、どうしなくてはいけないのかが分かると。これからは、グローバルな視点で考えていかなくてはいけないんですよ。

高山:確かに、日本人は外に目を向けていない人が多いですよね。

中野:朝起きたら多くの人は、ワイドショーを観ている人が多いと思うのですが、ワイドショーでは、国内のニュースとせいぜい日本が大きく影響を受ける海外情報程度、あとは芸能人のゴシップネタばかりやっていて、ほとんど情報収集にはならないですよね。一方、CNNを観てみると世界中で起こっているニュースが報道されています。そして世界中から注目の企業トップがインタビューされています。英語なのでよく分からないかもしれませんが、映像を見ればどんなことが起こっているか雰囲気で感じることはできますよね。CNNを観るだけで世界を知るきっかけになるし、世界が今どんなことに関心があるのかを知ることができます。CNNを観ると、日本の話題はほとんど報道されていないんですよ。日本企業のリーダーもほとんど出ていません。グローバルな関心事から日本がもはや外れてしまっていることが否応なく分かりますよ。