世界で10本の指に入るランドスケープ・デザイナーのメアリー・レイノルズさん。数々の庭園を手掛ける彼女のサクセス・ストーリーが、7月2日から公開される映画「フラワーショウ!」で描かれています。映画の公開に合わせて来日したメアリーさんにインタビューし、厳しい状況の中、成功された経緯や、困難に直面した時の乗り越え方などを伺ってきました。

メアリー・レイノルズ(ランドスケープ・デザイナー)
メアリー・レイノルズ(ランドスケープ・デザイナー)
1974年2月25日生まれ、アイルランド出身。ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンにてランドスケープ・デザインの優等学位を取得し、ランドスケープ・デザインの会社を設立。その後、アイルランドの個人宅のガーデン・デザインや、国内のTV局(RTE)でデザインのアドバイスを行う。2002年、チェルシー・フラワーショーのショー・ガーデン部門に初エントリーで金賞を受賞。アイルランド人として初めての受賞であり、当時の歴代最年少受賞記録を樹立。翌年、英国政府より依頼を受け、ロンドンのキュー王立植物園(世界遺産)の野生庭園の設計を手掛ける。2011年、ガーデニング番組(BBC局)の司会を務め、絶大な人気を博すランドスケーブ・デザイナーのダーマッド・ギャビンが選出する「世界で最も偉大なランドスケープ・デザイナー10人」に選ばれる。2016年4月、初めての著書『THE GARDEN AWAKENING(庭の目覚め)』が出版された

――映画「フラワーショウ!」は、メアリーさんのサクセス・ストーリーを基に作られたそうですが、ご自身の物語が映画化されて、世界中の観客に届くことをどう思いますか?

 「自分の物語なので奇妙な感覚がありますが、自然を守ることの大切さがしっかりメッセージとして描かれているので、それが世界中の方に届くというのが楽しみですね」

――この映画には、アシスタントとして就いたガーデン・デザイナーのシャーロットにデザインを盗まれてしまうというシーンが出てきますが、どの程度、真実と同じなのでしょうか?

 「シャーロットという人物と、デザインを盗まれたというのは映画用に作られたお話ですが、それ以外は全て真実です」

――どんなに才能と実力を持っているデザイナーでも、チェルシー・フラワーショーに出展するには、いくつもの壁を乗り越えなければならず、非常に大変だと映画を観て知りました。メアリーさんが出展された時、特にどんなことが大変でしたか?

 「私ができるということを信じてくれず、諦めなさいと言う周囲の声が大きかったので、それが乗り越えるべき一番大きな壁でした。それに挑戦するには、強い意志を持たなければなりませんでした。自分を信じるのは、ほかの誰でもない、自分でなくては意味がありませんからね」

――メアリーさんは、早い時期からランドスケープ・デザイナーを志して学び、どんどん才能を発揮されていきましたが、やりたいことを仕事にし、夢を実現するのは簡単なことではないと思います。壁にぶつかった時など、夢を諦めたくなることもありますよね。メアリーさんは、どのように意志を貫き、成功をつかんだのでしょうか? 壁にぶつかった時の乗り越え方などを教えてください。

 「映画の中でも描かれていることですが、壁にぶつかった際にできる、とても単純なことがあります。それは、願いがかなった時の感謝の気持ちを先に言葉にすることです。そうすることによって、自分を説得することができる。願いというのは、『未来でかなえば良い』という未来形ですが、それをすでにかなったものだと信じて強い意志を持つ、ということをやってほしいんです。当時の私自身もそうしましたし、それをやったら、人にできないと言われることは大した壁ではないと思うことができました」