――メアリーさんにとって、お仕事をする上でのモチベーションは何でしょうか?

 「自然に対する思いです。守らなくてはいけないという思い。このように言うと『えっ?』と思われるかもしれないですが、自然には“母性”を感じるんです。地球、大地、動植物、水に対してです。現代人が失ってしまった、そういった気持ちを強い情熱として持っているので、それが私を突き動かしてくれます」

メアリーさんの自然への強い思いが映画の中でも描かれている
メアリーさんの自然への強い思いが映画の中でも描かれている

――夢を形にしようとする際、誰かの力を借りなければならず、誰かの心を動かす必要があった時、メアリーさんはどのような努力をされますか?

 「人が世界に生まれた時に、それぞれが世界に何かを返す才能を持っていると思うんです。それが何なのか見つけることができれば、そこからはすごくシンプルです。その才能を持っているだけで、周りの人たちは応援してくれるし、力を貸してくれる。ただそれは、その人が心からそれが自分のやるべきことだと信じて、そう感じていなければ、周りの人も動かないけれど、実際に会った時に信じていることは伝わると思います。だからまずは、自分の才能が何なのかを見つけ、その道を歩いていくのがいいと思います」

――ありがとうございます。メアリーさんが手掛けるガーデンには、メアリーさんのメッセージが込められていますよね。まだこの映画を観ていない読者に、どのようなメッセージが込められているのか教えていただけますか?

 「自然と人間の間には、時間が本当になくなってきています。人間というものは、足の裏をつけている地球や自然、大地を反映させたものにすぎないと思っています。ガーデナーではなくガーディアン、守護者になっていかなくてはいけないと思います。大地からもらうばかりではなく、返すということを今始めなくてはいけないと思うんです。昔からある人間と大地との関わり合いに立ち戻らなくては、ということをメッセージとして感じていただければうれしいです」

「フラワーショウ!」
2016年7月2日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
(C) 2014 Crow’s Nest Productions
2014年/アイルランド/カラー/DCP5.1ch/シネマスコープ/100分/原題:Dare to be wild/字幕翻訳:鈴木恵美/後援:アイルランド大使館/提供:クロックワークス、東北新社/Presented by スターチャンネル
監督・脚本:ヴィヴィアン・デ・コルシィ
出演:エマ・グリーンウェル、トム・ヒューズ、クリスティン・マルツァーノ
配給:クロックワークス

公式サイト:http://flowershow.jp/

【STORY】
アイルランドの田舎で育ったメアリーは、「自分のデザインした庭で世界を変えたい!」という夢を抱く。有名なガーデン・デザイナーのシャーロットのアシスタントに採用されるが、高慢で貪欲な彼女に散々こき使われた揚げ句、長年書きためていたデザインノートを盗まれた上、クビになってしまうメアリー。どん底の中、メアリーは世界中から注目される最も権威のあるガーデニング&フラワーショー「チェルシー・フラワーショー」に出展し、金メダルを取ることを決意。コネもお金も経験もないメアリーは、世界最高峰の花の祭典に雑草で挑むが……。実話を基にした感動のサクセス・ストーリー。

文/清水久美子 撮影/杉 映貴子