日経WOMANが毎年表彰する「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2016」で昨年末、大賞に輝いたのは、ふるさと納税の総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンク代表取締役の須永珠代さん。
全国の自治体が実施しているふるさと納税の「使い道」と「お礼の品」を一覧で紹介するサイトを立ち上げ、サイトで寄付の申し込みからクレジットカード決済までできる仕組みを作ったことで、日本中にふるさと納税ブームが巻き起こりました。2015年度には寄付額が年間1600億円を超えるほどふるさと納税の市場が拡大したのは、須永さん率いる「ふるさとチョイス」があってこそ。
しかしそんな須永さんにも、20代の頃は派遣社員やアルバイトで10以上の職を転々とする「迷いの時期」がありました。30代でITベンチャー2社に勤め、リーマンショック直後には1年間の無職も経験し、2012年に38歳でトラストバンクを起業したのです。
いわゆる“自分探し”をしていたごく普通の女性だった須永さんが、社会にこれほど大きなインパクトを与える起業家になれた背景には、彼女が日頃から行ってきた心がけや習慣がありました。
「なりたい自分に近づけない」「仕事でイマイチ成果を出せない」と悩む人におすすめの、須永さんの「3つの習慣」を紹介していきます。
1 人生の目標は隠さず伝える
就職氷河期に東京で就職先が見つからなかった須永さんは、地元の群馬県で自動車ディーラーに就職したものの、やりがいを感じられずに1年で退社。その後は上京し、派遣社員やアルバイトで10以上の職を転々としました。
そんななか、「本当にやりたい仕事をするには、起業するしかない」と考え、30歳の誕生日に、「30代のうちに起業する」と身近な人に宣言。さらに、その後に就職したベンチャー企業では、社長に「私もゆくゆくは起業したいと思っています」と伝えました。
するとそれがきっかけで、社長は「ビジネスに必要なノウハウを学んだほうがいい」と、入社したばかりの須永さんにさまざまな“課題”を出すようになりました。
「創業時からの財務諸表を分析せよと言われたのをはじめ、社長のすべてのミーティングに立ち会い、その判断基準を学ぶように求められたのです。社長には、社員から数多くの企画提案が寄せられるのですが、その場に立ち会ううちに、彼が何を基準にそれをジャッジしているかが次第に分かるようになりました。社長は、“きれいにまとまっている提案”ではなく、“表現は稚拙でも、よく考えぬかれている、相手を動かす力のある提案”を採用していたのです」
この経験をきっかけに“考えぬく力”の大切さに気づいたことが、のちに仕事でステップアップし、起業をする上で大いに役立ったそうです。