30代の未婚女性を“負け犬”と定義づけ、社会現象にもなった『負け犬の遠吠え』から12年。酒井順子さんは近著『子の無い人生』(KADOKAWA)で、現代の日本で子どもを持たないということの意味をさまざまな視点から語っている。家族、仕事、将来の生活において考え、備えておくべきことを聞いた。

写真:稲垣純也
写真:稲垣純也

――最近、子どもを産まなかった女性たちの発言に注目が集まっています。先日は女優の山口智子さんが「子どもを持たないことは自らの選択であり後悔はない」と告白し、話題になりました。また、NHKアナウンサーの小野文恵さんが「子どもを産めなかった我々は『良い捨て石』になろう」と発言。こちらも波紋を呼びました。

酒井 アラフィフの女性たちが子どもについて語るようになってきたのは、「自分の人生がだいたいこういう形で落ち着く」ということが見えてきたタイミングだからなのかなと思います。年齢を重ね、冷静に語れるような年代になってきたということでもあるのでしょうね。

――本人の選択を尊重するという意見も多いものの、否定的な声もあります。SNS(交流サイト)上でも賛否両論の議論が繰り広げられました。